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ザ・ポップ・グループ(The Pop Group)の名曲名盤10選【代表曲・隠れた名曲】

今回はザ・ポップ・グループのランキングを作成しました。

彼らはポスト・パンクを代表するバンドです。

ロックの文脈から逸脱する曲の数々は、先鋭的でとてもスリリングです。

なおアルバム・バージョンとは異なる場合がありますので、予めご了承ください。

 

1位「Genius or Lunatic(live)」(アルバム:We Are Time)

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■曲名:Genius or Lunatic(live)
■曲名邦題:ジーニアス・オア・ルナティック
■アルバム名:We Are Time
■アルバム名邦題:ウィ・アー・タイム(狂気の時)
■動画リンク:「Genius or Lunatic(live)」

このブログの順位は、一般的な人気曲やヒット曲とは異なります。

全くの無名曲、シングルカットされていない曲が1位になることも珍しくありません。

また必ずしも私の主観ばかりで順位を決めていません。

ではどのような基準で順位を決めているか。

そのアーティストを初めて聞く人に気に入ってもらえるかどうか。

それしか考えていません。

このアルバムは編集盤ですが、これがなかなかすばらしい作品に仕上がっています。

その中でこの曲は入門者におすすめしたいと思いました。

さてこの曲はライブ録音です。

ライブ・アルバム「ザ・ボーイズ・フーズ・ヘッド・エクスプローデッド(The Boys Whose Head Exploded)」からも1曲ご紹介しておきましょう。

The Pop Group – Feed the Hungry

彼らはライブも聞き逃せません。

 

2位「Justice」(アルバム:For How Much Longer Do We Tolerate Mass Murder?)

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■曲名:Justice
■曲名邦題:ジャスティス
■アルバム名:For How Much Longer Do We Tolerate Mass Murder?
■アルバム名邦題:ハウ・マッチ・ロンガー
■動画リンク:「Justice」

彼らは政治的なメッセージを強く打ち出しています。

この曲の名前は「Justice」つまり「正義」という意味です。

歌詞を読むと、見覚えのある名前が出てきました。

その名前はブレア・ピーチ。

反差別主義者で、警官の暴行によって命を落としたイギリスの人権活動家です。

私は彼の名前を知っていたのは、リントン・クウェシ・ジョンソンが同じ人物をテーマにした曲を発表していたからです。

私は以前リントン・クウェシ・ジョンソンについて、以下の記事を書きました。

リントン・クウェシ・ジョンソン(Linton Kwesi Johnson)の名曲名盤10選

このアルバム名を訳すと「我々はいつまで大量殺人を容認するのか?」

私は政治に興味が薄い人なので、彼らの主張を調べようとは思いません。

ただ彼らの音楽にある生々しさや切迫感の裏側には、こうした背景があると思われます。

 

3位「Forces of Oppression」(アルバム:For How Much Longer Do We Tolerate Mass Murder?)

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■曲名:Forces of Oppression
■曲名邦題:フォーシズ・オブ・オプレッション
■アルバム名:For How Much Longer Do We Tolerate Mass Murder?
■アルバム名邦題:ハウ・マッチ・ロンガー
■動画リンク:「Forces of Oppression」

誰かに彼らの最高傑作を聞かれたら、私はこのアルバムと即答します。

次点は編集盤の「We Are Time」。

彼らには数枚の編集盤がありますが、現時点でベスト盤はありません。

そもそも彼らはベスト・アルバム向きのバンドでもありませんし。

ただどれから買うか迷った場合、最初の1枚にはこのアルバムをおすすめいたします。

実験的なのに完成度が高い充実作です。

彼らは1981年に解散していますが、それまで発表されたスタジオ録音のオリジナル・アルバムは2枚のみ。

このセカンド・アルバムはその内の1枚です。

ちなみに彼らは一度解散して、2010年再結成しました。

その後「シチズン・ゾンビ(Citizen Zombie)」「ハネムーン・オン・マーズ(Honeymoon on Mars)」という2枚のアルバムをリリースしています。

今回の対象期間は再結成前までですが、解散後からも1曲ご紹介しておきましょう。

The Pop Group – Age of Miracles

 

4位「Colour Blind」(アルバム:We Are Time)

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■曲名:Colour Blind
■曲名邦題:カラー・ブラインド
■アルバム名:We Are Time
■アルバム名邦題:ウィ・アー・タイム(狂気の時)
■動画リンク:「Colour Blind」

彼らはヒットチャートで評価すべきバンドではありません。

ただ「For How Much Longer Do We Tolerate Mass Murder?」は、イギリスのインディ・チャートで1位を記録しています。

それはメジャーなヒットチャートではランクインしなかったということを示しています。

その一方で彼らは後世に多大な影響を与えました。

彼らはポスト・パンクの始祖であり、後に出身地ブリストルで開花したトリップ・ホップのルーツでもあります。

しかしそれだけではありません。

彼らはパンク以降のニューウェーブ・シーンに広範な影響を及ぼしました。

たとえばこの曲などはザ・キュアー(The Cure)みたいではないでしょうか。

ギターは少しジョニー・マー(Johnny Marr)っぽいですし。

彼らのファンクは屈折してギクシャクしています。

そのシニカルなのに肉弾的な不思議なファンクは、日本でもZAZEN BOYSなどにも継承されています。

 

5位「She Is Beyond Good and Evil」(アルバム:Y)

■曲名:She Is Beyond Good and Evil
■曲名邦題:シー・イズ・ビヨンド・グッド・アンド・イーヴル
■アルバム名:Y
■アルバム名邦題:Y (最後の警告)
■動画リンク:「She Is Beyond Good and Evil」

彼らのデビュー・アルバムです。

強烈な印象を与えるアルバム・ジャケットには、パプア・ニューギニアの少数部族の写真が使われています。

トライバルでアヴァン・ポップな彼らにぴったりではないでしょうか。

さてこの記事では、レコードの収録曲と一部異なっています。

オリジナル・アルバムのレコードには、この「She Is Beyond Good and Evil」などシングル曲が入っていません。

しかしCDにはシングルが追加されています。

そうした違いがありますので、これからCDとレコードを買う予定の方はご注意ください。

今のところ彼らにはベスト盤がないので、シングルを追加してくれたのはありがたいです。

さてこの曲は「She Is Beyond Good and Evil」つまり「彼女は善悪を超えている」という意味。

混沌とした彼ららしい曲名だと思います。

 

6位「Where There’s a Will There’s a Way」(アルバム:Cabinet of Curiosities)

■曲名:Where There’s a Will There’s a Way
■曲名邦題:意志あるところ
■アルバム名:Cabinet of Curiosities
■アルバム名邦題:キャビネット・オブ・キュリオシティーズ
■動画リンク:「Where There’s a Will There’s a Way」

このアルバムは、初期未発表音源集です。

さて彼らの音楽をどのようにカテゴライズすべきでしょうか。

あまりに雑食すぎる、まるで闇鍋のような音楽です。

私なりに表現すれば、バンク、フリージャズ、ダブなどの具材が入ったホワイト・ファンク。

彼らのファンクは、ファンカデリック(Funkadelic)やパーラメント(Parliament)などP-FUNKの影響を受けているかもしれません。

異端で変態っぽい共通点も感じますし。

このバンドを取り上げると、スリッツを想起する方が少なくないと思います。

私は以前スリッツの記事を書きました。

スリッツ(The Slits)の名曲名盤10選

私は以前スリッツについて検索したところ、Googleから「スピッツ」と間違えていませんかというサジェスチョンが出ました。

それを見た私は発狂して、上の記事を書き上げました。

なお私はスピッツは好きですし、スピッツには罪はありません。

それはともかくザ・ポップ・グループが気に入ったら、上のスリッツの記事もどうぞ。

 

7位「We Are All Prostitutes」(アルバム:For How Much Longer Do We Tolerate Mass Murder?)

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■曲名:We Are All Prostitutes
■曲名邦題:ウィ・アー・オール・プロスティテューツ (最後の聖戦)
■アルバム名:For How Much Longer Do We Tolerate Mass Murder?
■アルバム名邦題:ハウ・マッチ・ロンガー
■動画リンク:「We Are All Prostitutes」

このグループはパンクの影響を受けています。

しかし一般的なパンクとは、かなり音楽が異なるかもしれません。

パンクはロックが本来持っていた荒々しさを取り戻そうとしました。

そのためフィフティーズの音楽がもてはやされたりもしました。

しかしザ・ポップ・グループは、ポストパンクのバンドです。

パンクとポストパンクの違いの1つは、ロックに対する姿勢にあります。

ポストパンクはパンクと違って、ロックの方法論にこだわっていません。

それどころかロックから遠ざかろうとし、全く違う進化を遂げようとしました。

つまりポストロックとは非ロック化のことです。

ポストパンクのバンドは更に先鋭化し、しまいにはロックでなければ何でもいいと主張する始末。

そのラジカルなベクトルの筆頭は、ザ・ポップ・バンドです。

この曲は「我々はみんな売春婦だ」という曲名です。

彼らは混沌とした時代を映す鏡のような存在になろうとしていました。

 

8位「We Are Time」(アルバム:Y in Dub)

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■曲名:We Are Time
■曲名邦題:ウィ・アー・タイム
■アルバム名:Y in Dub
■アルバム名邦題:ワイ・イン・ダブ
■動画リンク:「We Are Time」

この曲の原曲は、1979年レーダー・レコーズ(Radar Records)からリリースされたファースト「Y」に収録されています。

原曲のリンクも貼っておきましょう。

The Pop Group – We Are Time

セカンド・アルバムから「ラフ・トレード・レコード(Rough Trade Records)」に移籍し、セルフ・プロデュースになりました。

しかしファースト・アルバム「Y」では、レゲエの奇才デニス・ボーヴェル(Dennis Bovell)がプロデュースしています。

デニス・ボーヴェルはスリッツやリントン・クウェシ・ジョンソンの作品で決定的な仕事をした才人。

おそらく当時バンドが注目していたのは、ダブの手法だと思われます。

ダブとは、レゲエにおけるリミックスといってもいいかもしれません。

まあリミックスはダブから派生していますが。

このアルバムは、ザ・ポップ・グループの曲を素材にしたデニス・ボーヴェルのダブの作品集です。

私は原曲に思い入れがありましたが、このバージョンにはうなりました。

 

9位「Trap」(アルバム:We Are Time)

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■曲名:Trap
■曲名邦題:トラップ
■アルバム名:We Are Time
■アルバム名邦題:ウィ・アー・タイム(狂気の時)
■動画リンク:「Trap」

このアルバムはコンピレーションですが、ほぼオリジナル・アルバムと考えて差支えありません。

ワム!(Wham!)における「エッジ・オヴ・ヘヴン(Music from the Edge of Heaven)」みたいな立ち位置の作品です。

この後彼らは解散することになりましたが、当時バンド内では相当軋轢が高まっていたようです。

彼らの内輪もめは時に法廷争いに発展し、当然の帰結として1981年解散することになりました

その後各メンバーはそれぞれの道に進みました。

メンバーは、ピッグバッグ(Pigbag)、マキシマム・ジョイ(Maximum Joy)、ヘッド(Head)、リップ・リグ&パニックといったグループを結成した。このうちリップ・リグ&パニックにはネナ・チェリーが参加している。

ポップ・グループ ウィキペディア

あとニュー・エイジ・ステッパーズ(New Age Steppers)もありますね。

ネナ・チェリー(Neneh Cherry)を生んだリップ・リグ&パニック(Rip Rig + Panic)が一番人気かもしれませんが、私はピッグバッグもかなり好きです。

Pigbag – Brazil Nuts

ザ・ポップ・グループを気に入ったら、周辺を掘り下げることをおすすめいたします。

 

10位「Blind Faith」(アルバム:For How Much Longer Do We Tolerate Mass Murder?)

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■曲名:Blind Faith
■曲名邦題:ブラインド・フェイス
■アルバム名:For How Much Longer Do We Tolerate Mass Murder?
■アルバム名邦題:ハウ・マッチ・ロンガー
■動画リンク:「Blind Faith」

最後にこのバンドの中心人物、マーク・スチュワート(Mark Stewart)について触れておきたいと思います。

バンド解散後、彼はソロ活動に移行しました。

ボーカルのマーク・スチュワートは、On-Uサウンドと協力して、最初はマーク・スチュワート・アンド・マフィアとして、そして後にはソロ・アーティストとして、作品を発表した。

ポップ・グループ ウィキペディア

彼はこのバンドの根幹といえる存在でした。

このバンドは各楽器の主張が強く、濃厚な音楽を生み出しました。

しかもそこには更に隠し味として毒が入っていました。

その毒はマーク・スチュワート由来だったかもしれません。

彼の声はスピーカーから唾が飛んできそうで遠近感が狂う、生々しい迫力を放っていました。

その毒はザ・ザ(The The)などにも伝播したかもしれません。

しかしその毒々しさゆえに、彼らの音楽は頭のヒューズが飛ぶぐらいカッコいい音楽になりました。

毒入りまんじゅうが一番うまい。

彼らの音楽はそういう類のものかもしれません。

ならば聞いているこちらも、毒を食らわば皿までです。

 

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