今回はファウンテインズ・オブ・ウェインのランキングを作成しました。
彼らは1990年代以降のパワーポップを代表するバンドです。
特に安定したソングライティング力は、彼らの最大の強味です。
2人の優れたソングライターが競う合うかのように、すばらしい曲を書いていました。
- 1 1位「Better Things」(アルバム:This Is Where I Belong: The Songs of Ray Davies & The Kinks)
- 2 2位「Denise」(アルバム:Utopia Parkway)
- 3 3位「Sink to the Bottom」(アルバム:Fountains of Wayne)
- 4 4位「Troubled Times」(アルバム:Utopia Parkway)
- 5 5位「Someone to Love」(アルバム:Traffic and Weather)
- 6 6位「Stacy’s Mom」(アルバム:Welcome Interstate Managers)
- 7 7位「The Girl I Can’t Forget」(アルバム:Out-of-State Plates)
- 8 8位「Mexican Wine」(アルバム:Welcome Interstate Managers)
- 9 9位「Leave the Biker」(アルバム:Fountains of Wayne)
- 10 10位「This Better Be Good」(アルバム:Traffic and Weather)
- 11 番外編1 The Wonders「That Thing You Do!」(アルバム:That Thing You Do!)
- 12 番外編2 Tinted Windows「Can’t Get a Read on You」(アルバム:Tinted Windows)
- 13 関連記事
- 14 記事一覧
- 15 他ブログ・SNS等
1位「Better Things」(アルバム:This Is Where I Belong: The Songs of Ray Davies & The Kinks)
■曲名:Better Things
■曲名邦題:ベター・シングス
■アルバム名:This Is Where I Belong: The Songs of Ray Davies & The Kinks(2002年)
■アルバム名邦題:キンクス・トリビュート~ディス・イズ・ホエア・アイ・ビロング
■動画リンク:「Better Things」
ザ・キンクスのトリビュート・アルバムからの選曲です。
私は初めてこの曲を聞いた時、パワーポップの新たなマスターピースが誕生したと思いました。
原曲は「ギヴ・ザ・ピープル・ホワット・ゼイ・ウォント(Give the People What They Want)」という、キンクス暗黒期のアルバムに入っています。
ヒットこそしませんでしたが、原曲も充分良い曲でした。
しかし彼らはこの曲にメリハリを付けて、更にブラッシュアップしています。
まず最初はスローで始まり、次第にグイグイと加速していきます。
その後キャッチーなサビが炸裂すると、入れ替わるかのようにギターが昇り詰めていく。
美人がメイクによって更に超絶美女になったみたいな曲です。
2位「Denise」(アルバム:Utopia Parkway)
■曲名:Denise
■曲名邦題:愛しのデニース
■アルバム名:Utopia Parkway(1999年)
■アルバム名邦題:ユートピア・パークウェイ
■動画リンク:「Denise」
ロック系クラブの定番曲です。
実際私もDJをやっていた時、この曲は随分重宝しました。
サビのハンド・クラッピングは、フロアーを盛り上げる着火剤に最適でした。
この曲が発売されたのは、ウィーザーでいえば「ピンカートン(Pinkerton)」と「ザ・グリーン・アルバムWeezer)」の間。
当時は有名無名問わずパワーポップの名曲が続々と誕生していました。
当時の他のパワーポップ名曲に興味のある方は、以下の記事をご覧ください。
このブログの人気記事の1つです。
私は1990年代がパワーポップの全盛期だと思っています。
この「Denise」は、そのパワーポップ黄金期においてもエース級の存在でした。
3位「Sink to the Bottom」(アルバム:Fountains of Wayne)
■曲名:Sink to the Bottom
■曲名邦題:シンク・トゥ・ザ・ボトム
■アルバム名:Fountains of Wayne(1996年)
■アルバム名邦題:ファウンテインズ・オブ・ウェイン
■動画リンク:「Sink to the Bottom」
デビュー・アルバムの曲です。
ファースト・アルバムは以降の作品とはかなり録音が違います。
サウンドにすき間が多かったり、ガレージっぽい肌触りがあったりなど、全体にローファイな質感でした。
おそらくそれは意図したのではなく、低予算ゆえ結果的にそうなったと思われます。
このアルバムにかかった費用は5000ドルですから、1ドル100円換算では50万円ぐらいでしょうか。
しかも彼らは1週間でレコーディングしたそうです。
少なすぎる予算とあわただしいスケジュールが、作品の完成度を高める際不利になったかもしれません。
ただこの曲ではシンプルさと飾り気のなさが、逆に良い方向に振れているように思います。
4位「Troubled Times」(アルバム:Utopia Parkway)
■曲名:Troubled Times
■曲名邦題:トラブルド・タイムス
■アルバム名:Utopia Parkway(1999年)
■アルバム名邦題:ユートピア・パークウェイ
■動画リンク:「Troubled Times」
彼らのフォーキーな曲は、後期のサイモン&ガーファンクル(Simon & Garfunkel)を思わせます。
この曲でもコーラスの入れ方に影響がうかがえますね。
私がこの曲の聞きどころだと思うのは、2:00からの展開です。
単調になりがちなこの曲に変化を加えていて、ソングライティング上の工夫をしています。
比較的地味で玄人好みの曲かもしれませんが、メロディの良さゆえ心への浸透度が高い曲に仕上がりました。
この曲の歌詞を一言でまとめると、以下の通り。
あきらめかけたことがあったとしても、あなたは困難を乗り越えたのだ
後述しますが、このアルバムの後彼らは困難な時期を迎えましたが、その試練を乗り越えています。
5位「Someone to Love」(アルバム:Traffic and Weather)
■曲名:Someone to Love
■曲名邦題:サムワン・トゥ・ラヴ
■アルバム名:Traffic and Weather(2007年)
■アルバム名邦題:トラフィック・アンド・ウェザー
■動画リンク:「Someone to Love」
彼らは全アルバム、キャリアを通じて捨て曲がありません。
曲を書いているのは、アダム・シュレシンジャー(Adam Schlesinger)とクリス・コリングウッド(Chris Collingwood)の2人。
ただ後で揉めないように、単独で書いてもクレジットでは共作にしているとのこと。
そのためそれぞれの特色が分かりにくいですが、ある程度は推測可能です。
いかにもパワーポップな曲がアダムで、フォーキーだったりカントリーっぽい曲はクリスが多めのようです。
ただアダムのソロ活動には捨て曲もあったりします。
個性の異なる2人が組んだことで単調さを免れると共に、曲の質も高水準で安定しました。
6位「Stacy’s Mom」(アルバム:Welcome Interstate Managers)
■曲名:Stacy’s Mom
■曲名邦題:ステイシーズ・マム
■アルバム名:Welcome Interstate Managers(2003年)
■アルバム名邦題:ウェルカム・インターステイト・マネージャーズ
■動画リンク:「Stacy’s Mom」
彼らがブレイクするきっかけとなった曲です。
この曲はシングルチャート21位と初のヒット記録し、起死回生の1曲となりました。
それ以前アメリカでは1曲もチャートインしていません。
それがいきなりのゴールドディスク獲得で、グラミー賞にもノミネートされたのですから、当時私はかなり驚きました。
この曲は、小さな男の子が友達のお母さんに恋をしたという、たわいない曲です。
「Stacy’s Mom」の「Stacy」とは友達の女の子のことで、男の子は彼女のお母さんに夢中のようですね。
このテーマは、サイモン&ガーファンクルの「ミセス・ロビンソン(Mrs. Robinson)」を参考にしたそうです。
ただMVでは、デイヴィッド・リー・ロス(David Lee Roth)の動画かと見まごうようなセクシーなシーンが多いです。
本当に彼らの意図に合っているのかなと思わないでもありません。
7位「The Girl I Can’t Forget」(アルバム:Out-of-State Plates)
■曲名:The Girl I Can’t Forget
■曲名邦題:ザ・ガール・アイ・キャント・フォーゲット
■アルバム名:Out-of-State Plates(2005年)
■アルバム名邦題:アウト-オブ-ステイト・プレイツ
■動画リンク:「The Girl I Can’t Forget」
このアルバムは、B面曲・未発表曲・新曲などをまとめた2枚組です。
中にはなぜオリジナル・アルバムに入っていないのか、不思議に感じる良い曲も少なくありません。
その一方でコンピレーションならではの、遊び心のある曲も。
たとえばブリトニー・スピアーズ(Britney Spears)の「ベイビー・ワン・モア・タイム(…Baby One More Time)」のカバーが収録されています。
Fountains Of Wayne – … Baby One More Time
意外と良いカバーなのがおもしろいですね。
このコンピレーションには新曲も3曲入っていて「Maureen」はシングルカットされています。
オリジナル・アルバムとほぼ同等と考えて良さそうな編集盤かもしれません。
ファンにとっては、シングルを集める手間が省けるありがたいコンピでした。
8位「Mexican Wine」(アルバム:Welcome Interstate Managers)
■曲名:Mexican Wine
■曲名邦題:メキシカン・ワイン
■アルバム名:Welcome Interstate Managers(2003年)
■アルバム名邦題:ウェルカム・インターステイト・マネージャーズ
■動画リンク:「Mexican Wine」
このサード・アルバムの前には、大きな生みの苦しみがありました。
セカンド・アルバムは一部で熱狂的に支持されましたが、商業的には成功しませんでした。
その結果、彼らはアトランティック・レコード(Atlantic Recording)を解雇されています。
特にクリスは相当落ち込んだらしく、アダムの励ましでようやくこのアルバムの曲づくりを始めたのだとか。
その後なんとかS-Curve Recordsと契約してリリースしたのが、このアルバム。
しかし彼らは失敗した従来のやり方を変えず、逆にその方法を更に突き詰めました。
特に冒頭の3曲「Mexican Wine」「Bright Future in Sales」「Stacy’s Mom」は、どれも気合が伝わる強力な曲ばかりです。
その執念が運命の扉をこじ開けたのか、このアルバムは念願のヒット作になりました。
この曲も表面的には甘いですが、その甘さは信念に裏打ちされています。
9位「Leave the Biker」(アルバム:Fountains of Wayne)
■曲名:Leave the Biker
■曲名邦題:リーヴ・ザ・バイカー
■アルバム名:Fountains of Wayne(1996年)
■アルバム名邦題:ファウンテインズ・オブ・ウェイン
■動画リンク:「Leave the Biker」
この曲の主人公は、バイク乗りの男と交際している女性に横恋慕しているようです。
バイク男の顔に大きな傷があるとか、彼は泣いたことがあるのだろうかとか、読んでいたのはポルノ雑誌ではないかとか、遠巻きから言いたい放題です。
つまりこの曲の主人公は、真逆のヘタレ・タイプということでしょう。
そうした感じはジャケットにも表れています。
ちなみにこのファースト・アルバムのジャケットは2種類あります。
上に掲載したジャケットは最初のもの。
この写真がフラミンゴス(Flamingoes)の「フラミンゴ・セレナーデ(Plastic Jewels)」と被ってしまい、別のジャケットを差し替えられました。
フラミンゴスのジャケットもご紹介しましょう。
10位「This Better Be Good」(アルバム:Traffic and Weather)
■曲名:This Better Be Good
■曲名邦題:ディス・ベター・ビー・グッド
■アルバム名:Traffic and Weather(2007年)
■アルバム名邦題:トラフィック・アンド・ウェザー
■動画リンク:「This Better Be Good」
先程述べたように、彼らの曲はクリスとアダムの共同名義です。
しかしこの曲は証言によりにアダムが書いたことが明らかになっています。
この時期クリスは、うつ病とアルコール中毒に苦しんでいました。
そのためクリスの曲が減りアダムの曲が増えましたが、友情ゆえか全曲クレジットは共同名義を維持しています。
印税が入るので、クリスは安心して治療に専念できたことでしょう。
アダムは創作意欲の高い人で、クリスが活動できない時期も別プロジェクトや裏方仕事で多忙な日々を送っていました。
しかし精力的なアダムは、もうこの世にいません。
2020年4月1日に52歳という若さで亡くなりました。
追悼企画として、続けてアダムのソロ活動の曲をご紹介します。
番外編1 The Wonders「That Thing You Do!」(アルバム:That Thing You Do!)
■アーティスト名:The Wonders
■アーティスト名カナ:ワンダーズ
■曲名:That Thing You Do!
■曲名邦題:すべてをあなたに
■アルバム名:That Thing You Do!(1996年)
■アルバム名邦題:すべてをあなたに
■動画リンク:「That Thing You Do!」
この曲は1996年10月、デビュー作と同じ月にリリースされました。
アダムが単独で書いた曲です。
誤解している方もいるようですが、ファウンテインズがワンダーズという別名でリリースした曲ではありません。
実際この曲のボーカルは、マイク・ヴァイオラ(Mike Viola)ですし。
この曲にはマージービートの香りがしますね。
アダムのルーツがうかがえる興味深い曲です。
番外編2 Tinted Windows「Can’t Get a Read on You」(アルバム:Tinted Windows)
■アーティスト名:Tinted Windows
■アーティスト名カナ:ティンテッド・ウィンドウズ
■曲名:Can’t Get a Read on You
■曲名邦題:キャント・ゲット・ア・リード・オン・ユー
■アルバム名:Tinted Windows(2009年)
■アルバム名邦題:ティンテッド・ウィンドウズ
■動画リンク:「Can’t Get a Read on You」
このバンドもアダムの別プロジェクトです。
アダムは他にアイヴィー(Ivy)というバンドもやっていますが、そちらはパワーポップではありません。
一方こちらはファウンテインズに近い音楽性です。
このバンドが結成された時、メンバーの豪華さが話題になりました。
・ベース:アダム・シュレシンジャー
・ボーカル:ハンソン(Hanson)のテイラー・ハンソン(Taylor Hanson)
・ギター:スマッシング・パンプキンズ(The Smashing Pumpkins)のジェームズ・イハ(James Iha)
・ドラム:チープ・トリック(Cheap Tric)のバン・E・カルロス(Bun E. Carlos)
中でも最も私が好きなのがこの曲。
ミスター・パワーポップの面目躍如といえる、胸をすく名曲です。
関連記事
記事一覧
他ブログ・SNS等
■このブログの「トップページ」に戻る
※お気に入りに登録をお願いいたします!
■おとましぐらの音楽ブログ(サブブログ)
※オピニオン記事、企画色の強い記事を連載しています
■note(ジャンル別おすすめ曲一覧)
※選りすぐりの名曲を1曲単位でご紹介しています
■おとましぐらXアカウント
※フォローをお願いいたします!