今回はカルチャー・クラブのランキングを作成しました。
彼らは1980年代に一時代を築いたグループです。
彼らはキワモノ的なイメージを持たれがちですが、この記事では実力派としての側面に注目してみました。
オリジナル・アルバム未収録の隠れ名曲もご紹介しています。
- 1 1位「Do You Really Want to Hurt Me」(アルバム:Kissing to Be Clever)
- 2 2位「Miss Me Blind」(アルバム:Colour by Numbers)
- 3 3位「Church of the Poison Mind」(アルバム:Colour by Numbers)
- 4 4位「Time (Clock of the Heart)」(アルバム:This Time – The First Four Years)
- 5 5位「Karma Chameleon」(アルバム:Colour by Numbers)
- 6 6位「I’ll Tumble 4 Ya」(アルバム:Kissing to Be Clever)
- 7 7位「Don’t Talk About It」(アルバム:Waking Up with the House on Fire)
- 8 8位「Black Money」(アルバム:Colour by Numbers)
- 9 9位「Mystery Boy」(アルバム:Kissing to Be Clever)
- 10 10位「Victims」(アルバム:Live at the Royal Albert Hall 2002: 20th Anniversa)
- 11 番外編「Don’t Go Down That Street」(アルバム:Waking Up with the House on Fire)
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- 13 記事一覧
- 14 他ブログ・SNS等
1位「Do You Really Want to Hurt Me」(アルバム:Kissing to Be Clever)

■曲名:Do You Really Want to Hurt Me
■曲名邦題:君は完璧さ
■アルバム名:Kissing to Be Clever(1982年)
■アルバム名邦題:キッシング・トゥー・ビー・クレバー
■動画リンク:「Do You Really Want to Hurt Me」
まず曲名の邦題がすばらしいですね。
原文の「Do You Really Want to Hurt Me」は直訳すると「本当に僕を傷つけたいの?」という意味です。
それを「君は完璧さ」とプラスに変換した発想がすばらしいです。
さて、この曲はレゲエ・ナンバー。
レゲエっぽくないと思われるかもしれませんが、ベース・ラインなどは完全にレゲエそのものです。
ちなみにこの曲を本場のレゲエのバンドがカバーしたらこんな感じになります。
The Heptones – Do You Really Want To Hurt Me
原曲とそれほど違う感じがしませんね。
当時のレゲエはRebel Song、つまり抗議など攻撃的な姿勢を持った音楽でした。
この曲がリリースされた頃、ポップスの分野でこれほど上手に取り入れた例は多くありません。
同じく1982年のドナルド・フェイゲン(Donald Fagen)の「I.G.Y.」と並んで、レゲエのリズムをうまく活用したお手本みたいな曲でした。
2位「Miss Me Blind」(アルバム:Colour by Numbers)

■曲名:Miss Me Blind
■曲名邦題:ミス・ミー・ブラインド
■アルバム名:Colour by Numbers(1983年)
■アルバム名邦題:カラー・バイ・ナンバーズ
■動画リンク:「Miss Me Blind」
有名な話ですが、ボーイ・ジョージ(Boy George)はゲイです。
しかもこのバンドには、ボーイ・ジョージの元彼が在籍していました。
その男の名は、ドラムのジョン・モス(John Moss)。
上のアルバム・ジャケットでいえば左下の男性ですが、そういえばメンバーは皆イケメンばかりですね。
ジョンは後に女性と結婚して子供もいますから、バイセクシャルだったのでしょう。
当時ボーイ・ジョージはジョンから距離を置かれていたらしく、この歌詞には複雑な心境が綴られています。
実際僕が目の前から消えてしまったら、きっと君は悲しむだろうね。
そうしたら今度は君が僕を追いかけることになるよ。
そんな感じの歌詞です(笑)。
君は「Good Gun」を持っているとか、露骨な表現は勘弁してほしいですが。
しかし自分へのあてつけでしかないこの曲を、ジョン・モスはどう思いながら演奏していたのでしょうか。
3位「Church of the Poison Mind」(アルバム:Colour by Numbers)

■曲名:Church of the Poison Mind
■曲名邦題:チャーチ・オブ・ザ・ポイズン・マインド
■アルバム名:Colour by Numbers(1983年)
■アルバム名邦題:カラー・バイ・ナンバーズ
■動画リンク:「Church of the Poison Mind」
このブログで取り上げるアーティストの多くには、絶好調の時期があるものです。
このグループの場合は、このセカンド・アルバムの頃がそれにあたるかもしれません。
このアルバムから4曲を選びましたが、それでも「イッツ・ア・ミラクル(It’s a Miracle)」など、選外になった名曲があります。
当時ソウルとポップスを折衷した最良の楽曲の数々には、抗いがたい魅力があります。
この曲にはモータウンの影響もうかがえますね。
またバック・ボーカルとして参加している、ヘレン・テリー(Helen Terry)の張りのある歌も聞きもの。
ちなみにヘレン・テリーは「Blue Notes」というソロ・アルバムをリリースしています。
以下の曲では、逆にボーイ・ジョージがバック・ボーカルとして参加しています。
Helen Terry – Laughter on My Mind
4位「Time (Clock of the Heart)」(アルバム:This Time – The First Four Years)

■曲名:Time (Clock of the Heart)
■曲名邦題:タイム
■アルバム名:This Time – The First Four Years(1987年)
■アルバム名邦題:ディス・タイム
■動画リンク:「Time (Clock of the Heart)」
この曲は私の持っている「Colour by Numbers」には入っていません。
しかし同じアルバムでも収録されているものもあります。
この曲はこのベスト盤で初めて紹介されましたが、その後リリースされた「Colour by Numbers」には収録されているので、その点くれぐれもご注意ください。
さてこの曲の歌詞は、僕との時間をなかったことにするつもりかいという内容の曲です。
先程ご紹介した「Miss Me Blind」もそうですが、ボーイ・ジョージが書く歌詞は、恋人への束縛や執着を感じさせる歌詞が多いように感じます。
実際彼はゲイ専門の出会い系サイトで出会った男性を監禁して、実刑判決を受けていますし。
私はミュージシャンに対して、必ずしも道徳的な正しさばかり押し付けるつもりはありません。
もちろん失望することはありますが。
この人の自伝「Take it Like a Man」はブロードウェイで上演され、テレビドラマ化もされたそうです。
何かと問題の多い人ですが、エンターテイメントとして受け取られているようですね。
5位「Karma Chameleon」(アルバム:Colour by Numbers)

■曲名:Karma Chameleon
■曲名邦題:カーマは気まぐれ
■アルバム名:Colour by Numbers(1983年)
■アルバム名邦題:カラー・バイ・ナンバーズ
■動画リンク:「Karma Chameleon」
なぜか相性が悪いと感じる曲はないでしょうか。
私はこの曲のサビが苦手です。
しかしサビ以外はすばらしいので、ランキングから外すことは考えられません。
この曲は1983年イギリスで最も売れた曲ですし、2015年の同国の調査によると1980年代で好きな曲の9位ですから。
さてこの曲はサビに特徴があります。
「カマ・カマ・カマ・カマ」と繰り返されている部分は、当時ボーイ・ジョージがゲイであったこともあって、日本では面白おかしく話題になりました。
昔はゲイがおカマと呼ばれていたのですね。
しかし「カマ」と聞こえるのは「Karma(カルマ)」のこと。
「Karma」とは「業」という意味ですが、歌詞の文脈から察するに、ここでは人の名前を指しているようです。
6位「I’ll Tumble 4 Ya」(アルバム:Kissing to Be Clever)

■曲名:I’ll Tumble 4 Ya
■曲名邦題:アイル・タンブル・4・ヤ! 〜君のためなら
■アルバム名:Kissing to Be Clever(1982年)
■アルバム名邦題:キッシング・トゥー・ビー・クレバー
■動画リンク:「I’ll Tumble 4 Ya」
このブログでは、アーティストのビジュアルについてあまり触れていません。
必要があれば書く程度です。
しかしこの人たちの場合、ビジュアルをスルーする方が不自然です。
特にボーイ・ジョージの女装はインパクトがありますし、とかく顔がデカいなどといじられがち。
ただ写真だけでは、彼の魅力や世界観が伝わりにくいかもしれません。
この動画を見ると、確かに奇抜でもあるけれど、アーティスティックなセンスを持った人であることが分かります。
様々な個性を持った人が集まって、カラフルな世界観を表現しています。
「少し変でもかまわないから、どんどん個性を出していこう」とでも言いたいのかもしれません。
奇抜さではなく、クリエイティビティに注目してほしい人です。
7位「Don’t Talk About It」(アルバム:Waking Up with the House on Fire)

■曲名:Don’t Talk About It
■曲名邦題:ドント・トーク・アバウト・イット
■アルバム名:Waking Up with the House on Fire(1984年)
■アルバム名邦題:ウェイキング・アップ・ウィズ・ハウス・オン・ファイアー
■動画リンク:「Don’t Talk About It」
彼らの人気に影が忍び寄り始めた頃のアルバムです。
このアルバムは全英アルバム・チャートで2位、ファースト・シングル「戦争のうた(The War Song)」も2位とヒットしました。
ただアメリカでは前作に比べてかなりセールスを落とし、本国イギリスでもセカンド・シングル以降はヒットしていません。
その後彼らは「フロム・ラグジャリー・トゥ・ハート・エイク(From Luxury to Heartache)」というアルバムをリリースしました。
プロデューサーがアリフ・マーディン(Arif Mardin)に変わり、楽曲は粒ぞろいですが、飛びぬけた曲がありませんでした。
「贅沢から心の痛みへ」というアルバム・タイトルも意味深です。
その後ボーイ・ジョージは麻薬で逮捕されて、バンドは解散することになりました。
この「Don’t Talk About It」はノエビア化粧品のCMに使われた曲ですが、良い曲なのにシングルカットされていません。
もしこの曲がセカンド・シングルに選ばれていたら、もう少し人気が長続きしたかもしれません。
8位「Black Money」(アルバム:Colour by Numbers)

■曲名:Black Money
■曲名邦題:ブラック・マネー
■アルバム名:Colour by Numbers(1983年)
■アルバム名邦題:カラー・バイ・ナンバーズ
■動画リンク:「Black Money」
玄人筋と彼らの話題になると、この曲か「Time (Clock of the Heart)」が好きだと言われる確率が高いように思います。
確かにブルー・アイド・ソウル風のすばらしい曲です。
ボーイ・ジョージは歌が上手い人ですが、技巧的に優れているという印象はありません。
ただ普通に歌うだけでソウル・フィーリングがにじみ出てくる、素の歌唱が魅力的な人です。
彼は後に声質が少し変わりますが、この頃は少し鼻にかかった高音も魅力でした。
この曲では2:20からをお聞きください。
ヘレン・テリーとの掛け合いから歌いあげる展開は、聞き手に大いなる歓喜をもたらします。
彼らが時代の徒花で終わらず、今も聞き継がれているのは、シンガーとしての実力ゆえではないでしょうか。
9位「Mystery Boy」(アルバム:Kissing to Be Clever)

■曲名:Mystery Boy
■曲名邦題:ミステリー・ボーイ
■アルバム名:Kissing to Be Clever(1982年)
■アルバム名邦題:キッシング・トゥー・ビー・クレバー
■動画リンク:「Mystery Boy」
この曲も入っているアルバムが定まりません。
「Colour by Numbers」に入っている場合がありますし、「Kissing to Be Clever」でも入っていないCDがあります。
時期的にはファースト・アルバムに入っているべきとは思いますが。
彼らのCDを買う時は、収録曲にご注意ください。
この曲とどちらにするか迷った「ホワイト・ボーイ(White Boy)」は、リンクだけ貼っておきましょう。
ここではウィスキーのCMで使われた「Mystery Boy」の方を選曲しました。
試しに探してみたところ、そのCMを見つけました。
Culture Club Hot Whiskey TV Ad
ちなみにこの曲は日本限定のシングルで、海外ではプロモーション・オンリー扱いです。
英語のウィキペディアのシングルのリストにも、この曲は記載されていません。
この頃の彼らは未知数のミステリアスな存在でした。
10位「Victims」(アルバム:Live at the Royal Albert Hall 2002: 20th Anniversa)

■曲名:Victims
■曲名邦題:ヴィクティムズ
■アルバム名:Live at the Royal Albert Hall 2002: 20th Anniversa(2013年)
■アルバム名邦題:20周年記念ロイヤル・アルバート・ホール・ライヴ
■動画リンク:「Victims」
このCDは2003年にリリースされた、20周年記念のライブです。
この頃のボーイ・ジョージの声質には、昔ほどの甘さが感じられません。
この曲は2017年に「ライヴ・アット・ウェンブリー(Live at Wembley)」でも取り上げられていますが、そちらでは更に声質が変わっています。
しかしそれにもかかわらず、このライブ・バージョンはすばらしい出来です。
動画で注目していただきたいのは、3:09のところで観客の歓声を聞いて微笑むところ。
浮き沈みが大きかった彼の人生の光の部分が垣間見える瞬間です。
ちなみにカルチャー・クラブは一度解散しましたが、2014年に再結成しています。
現時点での最新アルバムは「Life」というタイトルで、全英チャートで12位を記録し健在ぶりを示しました。
番外編「Don’t Go Down That Street」(アルバム:Waking Up with the House on Fire)

■曲名:Don’t Go Down That Street
■曲名邦題:危ないSTREET
■アルバム名:Waking Up with the House on Fire(1985年)
■アルバム名邦題:ウェイキング・アップ・ウィズ・ハウス・オン・ファイアー
■動画リンク:「Don’t Go Down That Street」
この曲は音楽仲間のJohn Metavolitaさん(Interesting Drug)から教えてもらいました。
日本限定発売のシングルです。
この曲は2003年版の「Waking Up with the House on Fire」に、ボーナス・トラックとして収録されています。
おそらく聞いたことがない人も少なくないかもしれません。
この曲はボーイ・ジョージが、夜に外出している日本人女性を心配して書いたそうです。
日本の治安の良さをご存知なかったのかもしれません。
ただ彼はかなりの日本びいきらしいです。
このような日本限定シングルを発売したり、ファッションに歌舞伎の要素を取り入れたりしています。
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