今回はオル・ダラのランキングを作成しました。
この人はラッパーのNASの父親です。
ちなみにNASの本名は「Nasir bin Olu Dara Jones」で、「Olu Dara」と入っていますね。
オル・ダラは息子の名作「イルマティック(Illmatic)」にも参加しています。
NASの才能に疑いはありません。
しかしこのランキングの曲を聞き終わった時には、父親もただ者ではないと思っていただけるはずです。
芳醇で香り高い音楽をご堪能ください。
- 1 1位「Okra」(アルバム:In the World: From Natchez to New York)
- 2 2位「Used to Be」(アルバム:Neighborhoods)
- 3 3位「Neighborhoods」(アルバム:Neighborhoods)
- 4 4位「I See the Light」(アルバム:Neighborhoods)
- 5 5位「Your Lips」(アルバム:In the World: From Natchez to New York)
- 6 6位「Herbman」(アルバム:Neighborhoods)
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1位「Okra」(アルバム:In the World: From Natchez to New York)
■曲名:Okra
■曲名邦題:オクラ
■アルバム名:In the World: From Natchez to New York
■アルバム名邦題:イン・ザ・ワールド フロム・ナッチェス・トゥ・ニューヨーク
■動画リンク:「Okra」
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デビューアルバムからの選曲です。
楽しそうに話す人たちの声から始まりますが、どうやらホームパーティのシーンのようですね。
ちなみに曲名の「Okra」とは、野菜屋さんで売っている「オクラ」のことです。
つまりこの曲は「オクラ」の歌ということになります。
アルバムジャケットの裏面にパーティの写真がありますが、そこにオクラ料理がありました。
歌詞では「いちごもあるし、おくらもあるぞ」と誇らしげに歌われています。
まさに幸せの風景といえるでしょう。
このアルバムのタイトルは「In the World: From Natchez to New York」です。
「Natchez」という言葉に反応する方もいらっしゃるかもしれませんが、ヒットラーの「ナチス」ではなく、彼の生まれた土地ミシシッピー州の「ナッチェス」という地名のことです。
つまり自分の人生を振り返るという内容ですね。
どうやら彼の人生は長い旅路の末、このホームパーティに繋がったようです。
今の彼の人生が充実していることを感じさせてくれる音楽です。
息子のNASも立派に成長して、この時は名作「I Am…」発売の前年ですし。
2位「Used to Be」(アルバム:Neighborhoods)
■曲名:Used to Be
■曲名邦題:時は流れ
■アルバム名:Neighborhoods
■アルバム名邦題:ネイバーフッズ
■動画リンク:「Used to Be」
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この曲ではカサンドラ・ウィルソン(Cassandra Wilson)と共演しています。
カサンドラ・ウィルソンはオルタナティヴ寄りのジャズ・シンガーで、この曲でも深みのあるボーカルを披露しています。
とぼけたオル・ダラとカサンドラの掛け合いが、とても楽しい曲に仕上がっていますね。
この曲ではカサンドラがオル・ダラに「あなたの大切なルビーはどうなったの」と質問しています。
おそらく女性のことを聞いているのではないでしょうか。
オル・ダラは「かつては私はリンゴだったけれど、今はアップルパイだ」などと、とぼけた答えを返しています。
はぐらかしているのか、きちんと答えようとしません。
この時オル・ダラは60歳でした。
ちなみにオル・ダラはジャケットからも見て取れる通り、結構なイケメンです。
そのせいか結婚した奥さんとの子供以外も含めると、なんと10人以上の子供がいるんだそうです。
さてこの曲では、2人のボーカルとギターの絡みが、とても魅力的ではないでしょうか。
ギターは2本入っていて、Kwatei Jones-QuarteyとIvan Ramirezの2人のすばらしい演奏が、この曲に花を添えています。
3位「Neighborhoods」(アルバム:Neighborhoods)
■曲名:Neighborhoods
■曲名邦題:ネイバーフッズ
■アルバム名:Neighborhoods
■アルバム名邦題:ネイバーフッズ
■動画リンク:「Neighborhoods」
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この人の音楽には、いい意味で欲を感じません。
たとえばアフリカの土着の音楽には、Aメロ、Bメロ、サビなどの構成がありませんが、それは商業音楽ではないからです。
しかし盛り上がりがなく平坦なこの曲も、同じようなものではないでしょうか。
しかし代わりに、この曲にはメロウでコクの深いグルーヴがあります。
この曲では彼自らコルネットを演奏していますが、サックスに少し音を重ねるぐらいで、肩の力が抜けた演奏をしています。
自らの存在を誇示しようという感じの演奏ではありません。
オル・ダラは元々ジャズプレイヤーでした。
ジャズメン時代の演奏のリンクを貼っておきましょう。
Charles Brackeen – Worshippers Come Nigh
3:01ぐらいからが彼の演奏だと思われます。
ジャズ時代はデヴィッド・マレイ(David Murray)、ヘンリー・スレッギル(Henry Threadgill)、チャールズ・ブラッキーン(Charles Brackeen)、レスター・ボウイ(Lester Bowie)など、少し尖った人との共演が多かったように思います。
ただ彼はジャズ時代から、我の強いタイプのプレイヤーではなかったように思います。
4位「I See the Light」(アルバム:Neighborhoods)
■曲名:I See the Light
■曲名邦題:アイ・シー・ザ・ライト
■アルバム名:Neighborhoods
■アルバム名邦題:ネイバーフッズ
■動画リンク:「I See the Light」
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この人の音楽の特徴は雑食性です。
どの曲を聞いても、雑多な音楽をグツグツ煮込んだようなところが感じられないでしょうか。
この曲のベースラインなどはレゲエっぽいですが、曲としてはレゲエっぽい感じにはなっていません。
時々入る女性コーラスは、アフリカっぽいニューアンスを感じさせてくれます。
またファーストアルバムでは、ミシシッピーらしいフォーキーブルースの影響を感じる曲が散見されました。
彼の根底にはブルースがあるのでしょうが、味付けは南国音楽風であるところに、彼の音楽の面白さがあります。
私はそういう音楽が大好きですが、他にはなかなか例がありません。
タジ・マハール(Taj Mahal)の「ハナペペ・ドリーム(Hanapepe Dream)」などは、その数少ない類似例で、私はよくこのアルバムとセットで聞いています。
どちらも陽性で滋味の深さを感じさせてくれます。
5位「Your Lips」(アルバム:In the World: From Natchez to New York)
■曲名:Your Lips
■曲名邦題:ユア・リップス
■アルバム名:In the World: From Natchez to New York
■アルバム名邦題:イン・ザ・ワールド フロム・ナッチェス・トゥ・ニューヨーク
■動画リンク:「Your Lips」
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とてもかわいらしい曲です。
この文章を読んでいる方の中には、激しい音楽や尖った音楽が好きな方もいらっしゃると思います。
私も昔は外出時常にヘッドホンをして、爆音でフル武装していました。
しかしいつの頃からか、こういうナチュラルな音楽も聞けるようになってきました。
こういう音楽は無防備すぎるというか、若い頃の私には少し早かったかもしれません。
この曲の歌詞はこういう内容です。
あなたは一緒にいるといつも「なぜ私を愛しているのか」と尋ねてくるよね。
実は私はあなたに嘘をついていました。
私はあなたのドレスに惹かれたと言ったけれど、そうではありません。
私はあなたの唇に惹かれていたのですよ。
いかがでしょうか。
まだ歌詞を読むとまだ少し気恥ずかしくなりますが、私も将来オル・ダラのように年をとりたいと思い始めてきました。
6位「Herbman」(アルバム:Neighborhoods)
■曲名:Herbman
■曲名邦題:ハーブマン
■アルバム名:Neighborhoods
■アルバム名邦題:ネイバーフッズ
■動画リンク:「Herbman」
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この人は2枚しかアルバムを出していません。
ミュージックマガジンのプッシュのおかげもあって、日本でも結構売れたはずですが、それ以降アルバムを出していません。
この人はもう稼ぐとか成功などには、興味がないのかもしれません。
息子のNASはHIPHOPのレジェンドですし、自身もプレイヤーとしての評価が高く、食べていくことには困らないでしょう。
このアルバムの名前は「Neighborhoods」つまり「近所」という意味です。
おそらくこのジャケットは、近所に昼寝するような芝生があるということなのでしょう。
彼の余生は悠々自適なものになりそうです。
しかし一方で、これまで彼は決して平たんな道を歩いてきた訳ではありません。
彼は海軍を経て音楽の世界に飛び込んでからも脇を固めるばかりで、初リーダー作は57歳という遅咲きですから。
ちなみにNASの「Illmatic」では、彼自らの体験を元に、都市の貧困が描写されています.
その父親であったオル・ダラも、生活が豊かであったはずがありません。
しかしその間にも、彼の音楽は熟成されていきました。
この曲はニューオリンズのセカンドラインリズムが特徴的な曲ですが、1:37からレゲエのラガマフィンみたいなラップが入ります。
彼の音楽には天衣無縫なところがあって、天才のひらめきが感じられますが、才能が認知されるまで時間がかかり過ぎたかもしれません。
今では幸せそうで何よりですが。
ちなみに「Olu Dara」という名前は、ヨルバ語で「神はすばらしい」という意味です。
この芸名は音楽の道に飛び込んだ頃、自ら名付けた名前のようですが、その時点で成功が約束されていたのかもしれません。
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