今回はアヴェレイジ・ホワイト・バンドのランキングを作成しました。
彼らはファンクの入門者に最適なバンドです。
一流のファンク・バンドでありながら、歌ものに良い曲が多く、幅広い層に受け入れられるバンドだと思います。
この記事ではいつもよりベスト盤的な選曲をしてみました。
- 1 1位「Lets Go Round Again」(アルバム:Shine)
- 2 2位「Pick Up The Pieces」(アルバム:AWB)
- 3 3位「If I Ever Lose This Heaven」(アルバム:Cut The Cake)
- 4 4位「Whatcha’ Gonna Do For Me」(アルバム:Shine)
- 5 5位「Atlantic Avenue」(アルバム:Feel No Fret)
- 6 6位「Work To Do」(アルバム:AWB)
- 7 7位「Queen of My Soul」(アルバム:Soul Searching)
- 8 8位「Get It Up For Love」(アルバム:Benny & Us)
- 9 9位「The Jugglers」(アルバム:Show Your Hand)
- 10 10位「For You, For Love」(アルバム:Shine)
- 11 関連記事
- 12 記事一覧
- 13 note・SNS等
1位「Lets Go Round Again」(アルバム:Shine)

■曲名:Lets Go Round Again
■曲名邦題:レッツ・ゴー・ラウンド・アゲイン
■アルバム名:Shine(1980年)
■アルバム名邦題:シャイン
■動画リンク:「Lets Go Round Again」
かつてこのバンドの代表曲といえば「Pick Up The Pieces」一強でした。
実際「Pick Up The Pieces」は、本国アメリカのシングルチャートで1位を記録しています。
一方、こちらの「Let’s Go Round Again」は最高53位止まりで、ヒットの目安とされるトップ40入りを逃しました。
しかし現在その2曲は、アヴェレイジ・ホワイト・バンド(以下、AWB)の二大名曲として、共に高く評価されています。
この曲がここまで評価を高めた背景には、ダンス・フロアの支持が大きく影響しています。
前述の通りチャート上では大ヒットしなかったものの、フロアにおいてこの曲は無敵のアッパーチューンでした。
知名度はそこまで高くないのにフロアをバーストさせる曲は、DJに重宝されるもの。
そうした現場の支持によって、この曲は着実に評価を高めていきました。
今となっては、もはやヒットチャートの裏付けを必要としない、タイムレスなクラシックとして盤石の地位を確立しています。
こうした下剋上な再評価を考慮し、この曲を1位に推させていただきました。
2位「Pick Up The Pieces」(アルバム:AWB)

■曲名:Pick Up The Pieces
■曲名邦題:ピック・アップ・ザ・ピーセズ
■アルバム名:AWB(1974年)
■アルバム名邦題:アヴェレイジ・ホワイト・バンド
■動画リンク:「Pick Up The Pieces」
とはいえ、二大名曲のもう一方であるこの曲を軽視することはできません。
後期の歌ものを代表するのが「Let’s Go Round Again」だとしたら、初期のファンク路線を象徴するのは、この「Pick Up The Pieces」です。
このバンドには、それぞれ異なる文脈で2つの代表曲があるのですね。
ちなみに、この曲はキャンディ・ダルファーのカバーが広く知られています。
Candy Dulfer – Pick Up The Pieces
さらにもう1曲、個人的に最も気に入っているカバーもご紹介しましょう。
Avenue Blue – Pick Up the Pieces (feat. Jeff Golub)
この曲は、ホーン入りのファンク・バンドが一度は取り上げる、定番中の定番です。
この記事では2位にしましたが、一般的な人気や知名度を考慮すれば、この曲が1位にふさわしいかもしれません。
3位「If I Ever Lose This Heaven」(アルバム:Cut The Cake)

■曲名:If I Ever Lose This Heaven
■曲名邦題:イフ・アイ・エヴァー・ルーズ・ディス・ヘヴン
■アルバム名:Cut The Cake(1975年)
■アルバム名邦題:カット・ザ・ケイク
■動画リンク:「If I Ever Lose This Heaven」
彼らはファンクの入門者にうってつけのバンドだと思います。
これまで私はファンク・バンドについて多くの記事を書いてきました。
興味がある方は、記事下の「関連記事」をご覧ください。
それらの記事を書く時はいつも、リズム主体で音楽を聞く人は少数派であることを念頭に置いていました。
一般的にはまだまだ歌メロを中心に音楽を聞く人が多数派だと感じます。
私自身、音楽以外の分野では似たようなものなので、そうした風潮を上から目線で嘆く資格はありません。
ただこの記事では入門者の方に気に入っていただけるよう、歌もの中心で選曲しようと考えました。
選曲方針次第では、HIPHOPでよくサンプリングされている以下の曲を選んだかもしれません。
Average White Band – School Boy Crush
またこのバンドはカバー曲のセンスが抜群です。
リオン・ウェアが書いたこの「If I Ever Lose This Heaven」も、選曲センスの良いアーティストによく取り上げられています。
後ほどご紹介する「Work To Do」もそうですが、彼らは良い曲を見つける嗅覚にすぐれていました。
4位「Whatcha’ Gonna Do For Me」(アルバム:Shine)

■曲名:Whatcha’ Gonna Do For Me
■曲名邦題:ホワッチャ・ゴナ・ドゥ・フォー・ミー
■アルバム名:Shine(1980年)
■アルバム名邦題:シャイン
■動画リンク:「Whatcha’ Gonna Do For Me」
この曲はチャカ・カーン(Chaka Khan)のカバーが有名ですが、こちらが原曲です。
曲を書いたのは、AWBのヘイミッシュ・スチュアート(Hamish Stuart)と、AORのシンガーソングライター、ネッド・ドヒニー(Ned Doheny)のコンビ。
今回の記事では、後でもう1曲ネッド・ドヒニーがかかわった曲をご紹介しています。
前述の通り、このバンドは歌もの志向が強いバンドでした。
しかしその土台には、本家の黒人ファンク・バンドにも引けを取らない演奏力がありました。
今回のランキングでは、まず親しみやすい楽曲の魅力に注目してもらい、繰り返し聞く内に演奏の魅力に気付いていただければと意図して選曲しました。
このバンドは楽曲と演奏のどちらも突出しています。
良い楽曲を卓越した演奏力を持ったバンドがプレイするのですから、まさに鬼に金棒と言うほかありません。
5位「Atlantic Avenue」(アルバム:Feel No Fret)

■曲名:Atlantic Avenue
■曲名邦題:アトランティック・アヴェニュー
■アルバム名:Feel No Fret(1979年)
■アルバム名邦題:フィール・ノー・フレット
■動画リンク:「Atlantic Avenue」
1970年代中盤以降、多くのファンク・バンドは曲の良し悪しに関係なく、ヒットチャートの上位に上がりにくくなりました。
Pファンク、タワー・オブ・パワー、オハイオ・プレイヤーズ、そしてあのジェームス・ブラウンでさえも例外ではありません。
そうした逆風の中、多くのバンドが歌ものに活路を見出そうとしました。
しかしコモドアーズなど一部の成功例を以外、セールス面で苦戦したバンドが多かったように思います。
ただそれでも、生き残るためにはその方向へ進む以外なかったのもまた事実。
AWBも同様に歌ものに傾倒していきましたが、やはりチャートでは相応の評価を得ることはできませんでした。
この「Atlantic Avenue」は、彼らにしては異色のブラジリアン・テイストを打ち出した曲です。
もしかしたら当時全盛だったEW&Fの影響があったかもしれません。
生き残りの試行錯誤をする中で生まれた曲だと思われますが、シングル・ヒットには至りませんでした。
しかし私はこの曲が結構好きで、この路線の曲をもっと聞いてみたかったです。
6位「Work To Do」(アルバム:AWB)

■曲名:Work To Do
■曲名邦題:ワーク・トゥ・ドゥ
■アルバム名:AWB(1974年)
■アルバム名邦題:アヴェレイジ・ホワイト・バンド
■動画リンク:「Work To Do」
この曲はアイズレー・ブラザーズ(The Isley Brothers)の「Work To Do」のカバーです。
さて私は初期の最高傑作はAWB(通称:ホワイト・アルバム)」、後期の最高傑作は「Shine」だと思っています。
どのアルバムもクオリティが高く、どの作品が良いと思うかは好みの問題にすぎません。
ただ先程初期の最高傑作に挙げた「AWB」は、このバンドを象徴する3点で重要な作品でした。
1つ目は、アルバムタイトルの「AWB」がバンド名の略称であること。
2つ目はアルバムジャケットのイラストが、バンドのロゴマークとして定着したことです。
そして3つ目に、このアルバムから名匠アリフ・マーディン(Arif Mardin)がプロデュースを担当するようになったことです。
アリフ・マーディンは、ブルー・アイド・ソウルを得意とし、多くの名盤を生み出してきたヒット請負人でした。
彼は音楽の魅力を損なうことなくヒット性の高い作品に仕上げる、バランス感覚を持ったプロデューサー。
実際、今作でもその手腕は遺憾なく発揮され、このアルバムは全米1位を記録しただけでなく、バンドの個性を確立しました。
7位「Queen of My Soul」(アルバム:Soul Searching)

■曲名:Queen of My Soul
※シングルバージョン
■曲名邦題:クイーン・オブ・マイ・ソウル
■アルバム名:Soul Searching(1976年)
■アルバム名邦題:ソウル・サーチング
■動画リンク:「Queen of My Soul」
彼らは他のファンクバンドに比べても、歌を重視したバンドでした。
実際バンドの中心人物の2人アラン・ゴーリー(Alan Gorrie)とヘイミッシュ・スチュアートは、いずれもリード・ボーカルを担当しています。
ヘイミッシュ・スチュアートは伸びやかなファルセットやクリアな高音、アラン・ゴーリーはコクと深みのある地声など、対照的なスタイルを持っていました。
このように異なる音域のシンガーを複数擁するスタイルは、1970年代のソウル・ボーカルグループよく見られた王道の編成です。
この曲はヘイミッシュがリード・シンガーですが、一方でアランが単独で歌う曲もあります。
しかし、このツイン・リードボーカルが真価を発揮するのは、同じ曲で両者の持ち味が発揮されたケースかもしれません。
例えば先程ご紹介した「If I Ever Lose This Heaven」では、個性が違う2人のコントラストが鮮やかです。
ちなみに後にアラン・ゴーリーが発表したソロ・アルバムを聞くと、バンド時代よりも高い音域で歌っています。
おそらくアラン・ゴーリーはAWBの時、ヘイミッシュとの役割分担やバランスを意識していたのではないでしょうか。
8位「Get It Up For Love」(アルバム:Benny & Us)

■曲名:Get It Up For Love
■曲名邦題:恋は幻
■アルバム名:Benny & Us(1977年)
■アルバム名邦題:ベニー&アス
■動画リンク:「Get It Up For Love」
この曲も、先ほど名前を挙げたネッド・ドヒニーが書いた曲です。
本バージョンではベン・E・キング(Ben E. King)が歌っていますが、個人的にはヘイミッシュ・スチュアートの歌で聞いてみたかったです。
さて、このバンドは「Average White Band」、つまり「平均的な白人のバンド」という、ユニークな名前を名乗っています。
しかし音楽を聞くにつけ、どういう平均かと思ってしまいますね(笑)。
さてこの曲は違いますが、このバンドはベースが2人編成になることがあります。
彼らは白人とは思えないほど演奏は黒いですが、その一方でジェームス・ブラウンやパーラメントのようなクセの強さはありません。
黒いながらも洗練された「スマートなファンク」といえます。
先ほどファンクの入門者にこのバンドをおすすめだと書いたのも、その点に理由があります。
彼らのリズムはクセやエグみが少なくて、ファンクの醍醐味と聞きやすさを両立しています。
9位「The Jugglers」(アルバム:Show Your Hand)

■曲名:The Jugglers
■曲名邦題:ジャグラーズ
■アルバム名:Show Your Hand(1973年)
■アルバム名邦題:ショウ・ユア・ハンド
■動画リンク:「The Jugglers」
このバンドはよくタワー・オブ・パワー(Tower of Power)とよく比較されます。
どちらも高い演奏力と歌ものの魅力を備えた、白人中心のファンク・バンドです。
しかしファンク・バンドとしての特徴は、真逆といえるかもしれません。
タワー・オブ・パワーは、ドラマーのデヴィッド・ガリバルディとベーシストのロッコ・プレスティアを代表とする、16ビート基調で音を詰め込むような小刻みな演奏がスリリングでした。
以下の記事でも書きましたが、そのスタイルはまるでクイックネスを必要とするスポーツのようです。
タワー・オブ・パワー(Tower of Power)の名曲名盤10選
一方AWBは、ミディアムテンポのゆったりとしたグルーヴが特徴です。
ノリもタワー・オブ・パワーが比較的「前ノリ」であるのに対し、AWBは「後ノリ」でした。
そうしたAWBの特徴は、このデビューアルバムの時点で既に顕著です。
10位「For You, For Love」(アルバム:Shine)

■曲名:For You, For Love
■曲名邦題:フォー・ユー・フォー・ラヴ
■アルバム名:Shine(1980年)
■アルバム名邦題:シャイン
■動画リンク:「For You, For Love」
このバンドは、ファンク、ディスコ、AOR、フリーソウルなど、様々なジャンルに分類されています。
それらのジャンル分けは、このバンドを見る角度の違いにすぎません。
ただどの点でも、彼らの土台には圧倒的な演奏力という強味がありました。
その後彼らは歌もの色を強めましたが、アルバム「Shine」はその路線が爛熟したピークだったかもしれません。
続く次作「キューピッズ・イン・ファッション(Cupid’s In Fashion)」も、その好調ぶりを維持し良い出来でした。
そのアルバムから1曲ご紹介しましょう。
Average White Band – I Believe
しかし「Cupid’s In Fashion」は内容の良さに反して、200位以内にも入らない惨敗となりました。
そしてその結果を受けてバンドは解散することに。
演奏力を後退したことにも不振の一因はあるかもしれません。
ただそれ以上に、当時の音楽シーンは彼らのようなバンドにとって、逆風が強すぎたような気がします。
売れっ子プロデューサー、デヴィッド・フォスター(David Foster)を起用した起死回生になるはずの名曲「Let’s Go Round Again」でさえ53位止まりでした。
向かい風が強く吹く中にあっては、音楽の力だけで流れに抗うことは難しかったかもしれません。
後年このバンドは再評価されました。
しかしそれは再評価というよりも、当時の過小評価の訂正であり、彼らが本来受けられたはずの正当な評価への揺り戻しと言った方が、しっくりきます。
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