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フィッシュマンズ(Fishmans)の名曲名盤10選【代表曲・隠れた名曲】

今回はフィッシュマンズのランキングを作成しました。

彼らは「世田谷三部作」とライブばかり取り上げられがちかもしれません。

そこでこの記事では、あえて時期を偏らずスタジオ録音を中心に選曲してみました。

前半期のスタジオ録音を通過して初めて「世田谷三部作」の真価がご理解いただけるかもしれません。

 

1位「BABY BLUE」(アルバム:空中キャンプ)

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■曲名:BABY BLUE
■アルバム名:空中キャンプ(1996年)
■動画リンク:「BABY BLUE」

この曲は歌詞が印象的です。

意味なんかない 意味なんかない

君とだけ二人落ちていく BABY, IT’S BLUE
友達もいなくなって BABY, IT’S BLUE
誰よりも 大好きだった BABY, IT’S BLUE

BABY BLUE(作詞:佐藤伸治)

2人を包み込んでいるのは何の意味もない、淡くほんのり灰色がかった青(BABY BLUE)の世界です。

彼にとってその世界で唯一リアルなのは、一緒に落ちてくれる女性の存在。

悲観的な歌詞だと思われるかもしれません。

しかし真の悲劇は、本当の本当に何もないことかもしれません。

私はどれほど空疎な世界でも、大切なものを何か1つ見つけられれば上出来だと思っています。

この歌詞では「誰よりも 大好きだった」とあるので、意味あるものは見つかったようですね。

 

2位「ナイトクルージング」(アルバム:空中キャンプ)

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■曲名:ナイトクルージング
■アルバム名:空中キャンプ(1996年)
■動画リンク:「ナイトクルージング」

ドリーミーでダウナーな浮遊感が魅力の曲です。

日本ではこのアルバムが最高傑作だと言われていますが、それは「BABY BLUE」とこの曲の存在が影響しているかもしれません。

「空中キャンプ」「LONG SEASON」「宇宙 日本 世田谷」は「世田谷三部作」と呼ばれ、その時期が全盛期だとされています。

ちなみに海外で特に人気が高いのは、ライブ・アルバムの「98.12.28 男達の別れ」とスタジオ・アルバム「LONG SEASON」の2作。

もしこれから彼らの音楽を聞き始めるなら、この内どれかから入れば間違いありません。

しかしこの記事では、私は少し違った観点から選曲しました。

確かに「世田谷三部作」とライブ盤はどれも掛け値なしにすばらしい作品ばかり。

ただこの記事ではキャリア全般を振り返って、彼らの概要をコンパクトに把握していただけるようにしました。

そこでアート色の強い後期の曲だけでなく、より楽曲志向の強い前期も取り上げました。

どちらにせよ、一度どっぷりハマってしまえば「世田谷三部作」に行き着かざるを得ませんが。

 

3位「土曜日の夜」(アルバム:Oh! Mountain)

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■曲名:土曜日の夜
■アルバム名:Oh! Mountain(1995年)
■動画リンク:「土曜日の夜」

このバンドは、スタジオ・アルバムとライブ・アルバムで全く違う表情を見せてくれます。

少し乱暴な言い方をすれば、スタジオ・アルバムは静的で緻密、ライブは動的でダイナミックです。

「LONG SEASON」は単純に静的とは言えないかもしれませんが。

多くのバンドの場合、ライブではスタジオ録音の曲を少しラフに演奏しています。

しかしフィッシュマンズではその隔たりがかなり大きく、バンドの性質そのものが変わったように感じるほど。

当時の彼らは今ほどの知名度はなく、ライブに足を運んだのは時代の先端にいる人が多かったと思います。

リアルタイムで彼らのライブを体験した人たちの言葉がいつも熱を帯びるのは、スタジオ・アルバムとのギャップゆえかもしれません。

ライブ・アルバムでは、生の体験ほどではないにしても、その違いがどのようなものかをうかがい知ることができます。

ライブでの彼らは、1回限り再現性不可能な偶然性がスリリングです。

 

4位「RUNNING MAN」(アルバム:Neo Yankees’ Holiday)

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■曲名:RUNNING MAN
■アルバム名:Neo Yankees’ Holiday(1993年)
■動画リンク:「RUNNING MAN」

先程私は彼らの評価にちて「世田谷三部作」とライブに偏重していると書きました。

「世田谷三部作」はどれも偏重に値する傑作ばかりです。

しかし結果的にそれ以外のアルバムが軽視されたら、とてももったいないと思いました。

たとえばこのアルバムには、まだ彼らがアート性を帯びる前の普段着的な魅力を感じられます。

私はこのバンドの「世田谷三部作」とそれ以前、そしてライブという3つの区分の作品には、それぞれ違う魅力があると思っています。

初期この時期までは、レゲエの影響がストレートに表れた曲が数多くありました。

この曲は、以下のレゲエ・クラシックに影響を受けているそうです。

Carlton & The Shoes – Give Me Little More

ちなみに私は昔、佐藤伸治がおすすめするレゲエ・アルバム10枚をメモした紙片を財布に忍ばせ、レコード屋で見かけたら高くても買うようにしていました。

そのリストにあったアルバムから1曲をご紹介します。

Marie Pierre – Somebody Else’s Man

彼はこのアルバムについて「天使だわ」とコメントしていたと記憶しています。

 

5位「感謝 (驚)」(アルバム:ORANGE)

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■曲名:感謝 (驚)
■アルバム名:ORANGE(1994年)
■動画リンク:「感謝 (驚)」

彼らが渋谷系の本流であったことはありませんが、この頃まではどこか渋谷系の香りがありました。

特にこの曲は、渋谷系に最も接近した曲といえるかもしれません。

ちなみに佐藤伸治は小山田圭吾にライバル意識を持っていたようですね。

1991年にフリッパーズ・ギターが解散した際、おもしろがって「小山田をフィッシュマンズにスカウトしよう」と周囲に話していたそうです。

この曲を聞くと、あながち冗談ではなかったように感じられないでしょうか。

両者はすぐれたメロディメイカーでありながら、安全圏に定住しないタイプで、ポップではない作風で傑作をものにしています。

加えてどちらも天才ゆえの欠落を抱えており、結構似たタイプではないかという気がします。

ただ佐藤伸治が小山田圭吾に寄せた関心は一方通行で、生前に小山田圭吾が佐藤伸治へ関心を示した様子はありません。

人気の差も大きく、2人に交流があったという記録もありません。

そのため佐藤伸治が亡くなった時、面識のない小山田圭吾が弔問に訪れたことに、バンド側のスタッフは驚いたそうです。

 

6位「いかれたBABY」(アルバム:Neo Yankees’ Holiday)

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■曲名:いかれたBABY
■アルバム名:Neo Yankees’ Holiday(1993年)
■動画リンク:「いかれたBABY」

このバンドの曲は、ほとんどが佐藤伸治が作詞、作曲しています。

「世田谷三部作」より前の時期は、メロディの良い曲が多かったように思います。

たとえばこの曲は楽曲そのものの魅力的で、そのせいかよくカバーされています。

カバーを1曲ご紹介しましょう。

モトーラ世理奈 – いかれたBaby

ただ当時彼らは全く売れませんでした。

今でこそこのバンドはよく知られていますが、初出時はアルバム/シングル共に一度もチャートインしていません。

この記事を書く為にその事実を確認した時、私は胸が痛みました。

彼らの音楽は売れるタイプではありませんし、売れない音楽の中にも良い音楽はたくさんある。

しかしそれでもなお、少なくとも「世田谷三部作」ぐらいは売れてしかるべきではなかったか。

当時は「業界では人気がある」とか「一部でカルト人気をほこる」などと言われていましたが、きちんと売上枚数に表れてほしかったです。

 

7位「忘れちゃうひととき」(アルバム:ORANGE)

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■曲名:忘れちゃうひととき
■アルバム名:ORANGE(1994年)
■動画リンク:「忘れちゃうひととき」

先程から佐藤伸治のことばかり書いています。

ここでは他のメンバーについても触れておきましょう。

このバンドは、ドラムの茂木欣一とベースの柏原譲の2人が生み出すグルーヴが魅力でした。

彼らのリズムは日本のバンドらしい批評性がありながらも、肉体性も同時に備えた鉄壁のリズム・セクションです。

タイプは違いますが、彼らはトーキング・ヘッズのように知性と肉体性のバランスの良いリズム隊でした。

ボーカルの佐藤伸治亡き後バンドをけん引した茂木欣一は、バンドの求心力となるとともに、現在は東京スカパラダイスオーケストラでもドラムを担当しています。

柏原譲は「Neo Yankees’ Holiday」から参加したエンジニアZAKと共に、世田谷ダブ・サウンドに大きく貢献しました。

ZAKについてはまた後で触れます。

まだサポート・プレイヤーではありますが、Honziの存在は軽視できません。

彼女はバイオリンやキーボード、そして美しいコーラスなど、特に後期は必要不可欠な存在でした。

後期の彼らは音数を減らし、その代わりに少しだけ音を加えていました。

そうした音の再構成時、Honziはユーティリティな存在として機能し、時に決定的な仕事をしました。

 

8位「頼りない天使」(アルバム:King Master George)

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■曲名:頼りない天使
■アルバム名:King Master George(1992年)
■動画リンク:「頼りない天使」

ここで簡単にバンドの変遷を振り返ってみましょう。

彼らは1987年、明治学院大学のバンド・サークル内で結成されました。

ちなみにミッシェル・ガン・エレファントも同じく、明治学院大学のバンド・サークル出身です。

その後1991年、シングル「ひこうき」でメジャーデビューを果たしています。

フィッシュマンズ – ひこうき

上の曲はデビュー・アルバム「Chappie, Don’t Cry」に収録されています。

セカンド・アルバム「King Master George」に収録された「頼りない天使」と共に、初期を代表する曲です。

その後彼らはポリドールに移籍し、1996年の「空中キャンプ」で大化けしました。

サウンドの変化については後で書きますが、ここでは佐藤伸治の歌の変化について書きます。

「世田谷三部作」より前の彼は、歌う意識が強くメロディを重視していたように思います。

ただ彼の歌は一聴頼りなく聞こえますし、飄々とした歌い方は同時に音程が不安定に感じられ、時にネガティブに受けとめられることがありました。

しかしその欠点は「空中キャンプ」で反転しました。

続きは後で述べたいと思います。

 

9位「POKKA POKKA」(アルバム:宇宙 日本 世田谷)

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■曲名:POKKA POKKA」
■アルバム名:宇宙 日本 世田谷(1997年)
■動画リンク:「POKKA POKKA」

ここでは「世田谷三部作」以降のサウンドの変化について書きます。

バンドの音楽性はレゲエの影響を受けたポップな作風から、サイケデリックでスケール感のあるダブ・サウンドに移行しました。

その時のキーマンはエンジニアのZAK氏です。

彼は音響空間を広く認識させることに長けていました。

サウンドに浮遊感を醸す、又はストイックに美しい音を少しだけ加え、ドリーミーなダブ・サイケデリック音響を演出しました。

長くなるので詳しく触れませんが、私はこの変化について、ミュート・ビートの影響があると考えています。

佐藤伸治の歌はリードボーカルとしての役割が希薄し、サウンドに同化する傾向を強めました。

後期の佐藤伸治の歌は、歌とサウンドの中間的役割だったといえます。

その佐藤伸治の歌が、虚空のサウンドの孤独感を一層引き立て、以前の「頼りない」という欠点は一転反転し、妙に刺さる唯一無二の個性として結実しました。

彼の歌がなければ、画竜点睛を欠きます。

このアルバムからもう1曲ご紹介しましょう。

フィッシュマンズ – MAGIC LOVE

 

10位「バックビートにのっかって」(アルバム:宇宙 日本 世田谷)

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■曲名:バックビートにのっかって
■アルバム名:宇宙 日本 世田谷(1997年)
■動画リンク:「バックビートにのっかって」

現在このバンドについて触れられる文章は「海外で高く評価されているバンド」という論調が多いように思います。

実際Rate Your Musicでは、特に後期作品が軒並み高い評価を受けています。

ちなみに現時点のオールタイムの名盤ランキングを見ると、現時点では「Long Season」が29位で、1つ前の28位はビーチ・ボーイズ(The Beach Boys)の「ペット・サウンズ(Pet Sounds)」。

更に59位にはライブ盤「98.12.28 男達の別れ」がランキングされています。

どちらの作品もその前後には歴史的な名盤がずらりと並んでいて、海外の熱心なリスナーから神格化されています。

日本では2004年にトリビュート・アルバムがリリースされると、再評価が本格化しました。

一方世界では2012年に巨大掲示板4chanで認知され始め、その知名度は2016年頃Rate Your Musicにも波及しました。

しかしこのような再評価は遅きに失したかもしれません。

1999年佐藤伸治は、心不全により亡くなりました。享年33歳。

彼は虚弱な歌を武器に、日本の音楽の最高到達地点に達しました。

フィッシュマンズの音楽は、私にとって「嗜好品ではなく必需品」です。

書き終えようとしている今、もっとうまく魅力を伝えられなかったかという思いばかりが募っています。

もう2曲ご紹介しましょう。

フィッシュマンズ – Season
フィッシュマンズ – ゆらめき IN THE AIR

この記事で彼らに興味を持った方は、海外で高く評価された「LONG SEASON」と「98.12.28 男達の別れ」を、ぜひ聞いてみてください。

前者は全曲が1曲だけなのでご紹介できませんでした。

後者は一枚通して聞いてほしいと思い、あえてここでは取り上げませんでした。

この記事がその2枚を聞く前のウォーミングアップになれば幸いです。

 

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