今回は高橋幸宏のランキングを作成しました。
この記事では初期のソロ・アルバムを対象に選曲しました。
良い曲が沢山あるのに、あまり聞かれていない時期かもしれません。
- 1 1位「Connection」(アルバム:NEUROMANTIC ロマン神経症)
- 2 2位「RADIOACTIVIST」(アルバム:音楽殺人)
- 3 3位「Providence」(アルバム:Once A Fool, … ―遥かなる想い―)
- 4 4位「Drip Dry Eyes」(アルバム:NEUROMANTIC ロマン神経症)
- 5 5位「LEFT BANK」(アルバム:EGO)
- 6 6位「IT’S GONNA WORK OUT」(アルバム:WHAT, ME WORRY? ボク、大丈夫!!)
- 7 7位「MURDERED BY THE MUSIC」(アルバム:音楽殺人)
- 8 8位「MOONLIGHT FEELS RIGHT」(アルバム:…Only When I Laugh …笑っている時だけ)
- 9 9位「LA ROSA」(アルバム:サラヴァ!)
- 10 10位「Good Time」(アルバム:薔薇色の明日)
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1位「Connection」(アルバム:NEUROMANTIC ロマン神経症)
■曲名:Connection
■曲名邦題:コネクション
■アルバム名:NEUROMANTIC ロマン神経症
■動画リンク:「Connection」
イントロからしてたまりません。
この時期の音楽性はジャンルでいえば、エレポップとテクノポップだと思います。
アルバム名の「NEUROMANTIC」とは「神経症」を意味する「NEUROTIC」と「ROMANTIC」を合わせた造語。
ちなみにドイツのクラウト・ロックのバンドに「NEU」というバンドがあります。
「NEU」とは、ドイツ語で「NEW」という意味。
おそらくそのあたりも考慮したネーミングだと思われます。
また「NEUROMANTIC」という語感から、ウィリアム・ギブスン(William Gibson)のSF小説「ニューロマンサー(Neuromancer)」を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。
実はウィリアム・ギブスンは、このアルバム名から着想を得たそうです。
ちなみにこのアルバムには、ニュー・ミュージック(New Musik)のトニー・マンスフィールド(Tony Mansfield)が参加しています。
この曲にはその影響が表れているかもしれません。
2位「RADIOACTIVIST」(アルバム:音楽殺人)
■曲名:RADIOACTIVIST
■アルバム名:音楽殺人
■動画リンク:「RADIOACTIVIST」
YMOはドイツのバンド、クラフトワーク(Kraftwerk)の影響を受けています。
先日興味深いツイートを見つけました。
YMOがアメリカの音楽番組ソウルトレインに出演した際の名物司会者ドン・コーネリアスと幸宏さんの会話。
「YMOはどんなバンドの音に近いの?」
「クラフトワークかな…クラフトワークは知ってる?」
「もちろんだよ。俺様をナメるんじゃないぜ笑」
このやりとり大好きなんだよな。#高橋幸宏 pic.twitter.com/6fNiqVPjtV— 東京日和 (@ryuna6992) January 17, 2023
この曲は「RADIOACTIVIST」という曲名ですが、クラフトワークにも「Radio-Activity」という曲があります。
クラフトワークは、ドイツ時代のデヴィッド・ボウイ(David Bowie)にも影響を与えています。
この曲はその時期のボウイに似ているように感じるのは、クラフトワーク→デヴィッド・ボウイ→高橋幸宏という隔世遺伝なのかもしれません。
私はこの曲の雰囲気が好きです。
3位「Providence」(アルバム:Once A Fool, … ―遥かなる想い―)
■曲名:Providence
■曲名邦題:素晴らしき幻想
■アルバム名:Once A Fool, … ―遥かなる想い―
■動画リンク:「Providence」
このアルバムは1985年11月1日のリリース。
YMOは1983年12月14日、サーヴィス(SERVICE)を発表した後、散開(解散ではない)しました。
前作まではアルファ・レコードの内レーベルYEN Recordsに所属していました。
YEN Recordsは、1982年5月から1985年5月の間存在したレーベルです。
YEN Recordsは、細野晴臣がアルファ・レコードの村井邦彦を説得して「設立したレーベル内レーベルです。
しかしYMOが散開してレーベルがなくなると、高橋幸宏はキャニオン・レコードに移籍しました。
そしてキャニオン・レコード内でまた、ムーンライダーズらとT・E・N・ Tレーベルを設立しました。
レーベル内にレーベルを設立する目的は様々あります。
たとえば創作上の自由を得ることも、その目的の1つ。
とは言っても、音楽は大きく変わっているようには感じませんが。
この曲はカシオのCMソングにも使用され、幸先の良いリスタートとなりました。
4位「Drip Dry Eyes」(アルバム:NEUROMANTIC ロマン神経症)
■曲名:Drip Dry Eyes
■曲名邦題:ドリップ・ドライ・アイズ
■アルバム名:NEUROMANTIC ロマン神経症
■動画リンク:「Drip Dry Eyes」
元々はサンディに提供した曲です。
サンディのバージョンは、ダブっぽい処理が印象的です。
高橋幸宏は作曲の才能を持った人でした。
ちなみにYMOの「ランディーン」もこの人が書いた曲です。
しかしこの人が興味深いのは、優れたソングライターなのに外部のライターの曲が多いことです。
またカバー曲も多いですし。
普通は自分が書いた曲でアルバムを埋めたくなるものです。
その方が自分の意思がアルバムに反映されますし、印税収入も得られるでしょうから。
しかし彼はそういう人ではありませんでした。
しかし他の人にはこの曲のように、良い曲を惜しげもなく提供するという(笑)
すぐれた才能を持ちながらエゴの強さを感じない、育ちの良さを感じる人でした。
5位「LEFT BANK」(アルバム:EGO)
■曲名:LEFT BANK
■曲名邦題:左岸
■アルバム名:EGO
■動画リンク:「LEFT BANK」
ムーンライダースの鈴木慶一が作曲し、高橋幸宏が作詞を担当した曲です。
2人はビートニクスを結成した盟友関係にあります。
この曲はビートニクスのアルバムだけでなく、鈴木慶一、高橋幸宏それぞれのアルバムに収録されました。
この2人は資質も似ているかもしれません。
共通点を1つだけ指摘すれば、どちらもヨーロッパ志向が強い人でした。
そのあたりは大貫妙子とも同じ。
彼らのヨーロッパ志向はエレガントで、決して下世話になりません。
押しが弱い面はあるものの、その代わりに音楽の魅力でリスナーの心をつかみました。
同じアルバムからもう1曲ご紹介します。
6位「IT’S GONNA WORK OUT」(アルバム:WHAT, ME WORRY? ボク、大丈夫!!)
■曲名:IT’S GONNA WORK OUT
■曲名邦題:きっとうまくいく
■アルバム名:WHAT, ME WORRY? ボク、大丈夫!!
■動画リンク:「IT’S GONNA WORK OUT」
この曲はかなりYMOっぽい感じがします。
ちなみにこのアルバムがリリースされたのは「テクノデリック(TECHNODELIC)」の翌年。
YMO在籍時は、坂本龍一と細野晴臣が曲の提供やアレンジで協力しています。
高橋幸宏はYMOでの自分の立場について、他の2人を奇才、天才と呼ぶ一方自分を凡人と言っていました。
しかし逆にいえば、それが冗談として成立するほどの才能の持ち主でした。
もしそれが本当なら、冗談にはなりませんよね(笑)
そもそもこのランキングを聞けば、才能は明らかですし。
ただ末っ子的なポジションにいたと思われ、まるで兄が弟の世話を焼くように、他の2人は高橋幸宏のアルバムに協力しました。
私はYMOの方向性を、高橋幸宏のソロ・アルバムで実験していたような気がします。
この後YMOは「浮気なぼくら」を発表し、ポップなボーカル路線に舵を切りました。
7位「MURDERED BY THE MUSIC」(アルバム:音楽殺人)
■曲名:MURDERED BY THE MUSIC
■曲名邦題:音楽殺人
■アルバム名:音楽殺人
■動画リンク:「MURDERED BY THE MUSIC」
彼の代表作として挙げられるのは「サラヴァ!」が多いように思います。
しかし私は少し違う意見を持っています。
私はデビュー・アルバムは、まだ助走段階だったと思っています。
本当に彼が本領を発揮するのは、次作のこのアルバムからかもしれません。
さてこの記事は彼の追悼記事ですが、このアルバム・ジャケットと「音楽殺人」というタイトルは、冗談がキツい感じがしてしまいます。
ただこの人は、こういう飄々としたユーモア感覚が魅力だと思い返しました。
この曲は、鮎川誠と高橋ユキヒロの共作です。
ちなみにこの時期の芸名は、高橋幸宏ではなく、高橋ユキヒロでした。
8位「MOONLIGHT FEELS RIGHT」(アルバム:…Only When I Laugh …笑っている時だけ)
■曲名:MOONLIGHT FEELS RIGHT
■アルバム名:…Only When I Laugh …笑っている時だけ
■動画リンク:「MOONLIGHT FEELS RIGHT」
この人の謎はカバーの選曲です。
特に「ストップ・イン・ザ・ネイム・オブ・ラヴ(Stop! In the Name of Love)」や「瞳の中の愛(I Saw The Light)」は、個人的にはいかがなものかと思っています。
それの曲の出来が悪いかといえばそうではありませんが、私はあえてカバーする意図が見えませんでした。
彼は良いソングライターですし。
ただいくつか例外があって、この曲などはカバー曲の成功例だと思います。
この曲のオリジナルはスターバック(Starbuck)というバンドの曲ですが、原曲の段階で既にすばらしいです。
スターバックでは、以下の曲も激しくおすすめします。
Starbuck – One of These Mornings
有名曲でなくても、すばらしい曲があるものです。
どさくさにまぎれてご紹介してしまいました。
9位「LA ROSA」(アルバム:サラヴァ!)
■曲名:LA ROSA
■曲名邦題:ラ・ローザ
■アルバム名:Saravah!
■アルバム名邦題:サラヴァ!
■動画リンク:「LA ROSA」
ファースト・ソロ・アルバムの曲です。
最高傑作として紹介されていることが多いかもしれません。
私は「音楽殺人」あたりが最高傑作だと思っています。
とはいえ悪い内容であるはずもなく、それはこの曲を聞けばお分かりいただけると思います。
この曲は同じくヨーロピアン仲間 加藤和彦が書いた曲。
しかしこの曲に関する限りは、坂本龍一のアレンジが圧巻ですが。
さて少し音楽から離れたことを書きます。
私はこの人のたたずまいにあこがれます。
彼はダンディでユーモアと遊び心があり、才能のある人間に囲まれても埋没せず、存在感を放った人でした。
サディスティック・ミカ・バンドからMETAFIVEに至るまで、彼はバンドが好きでした。
音楽はもちろん、人間的に魅力的な人だったと思います。
10位「Good Time」(アルバム:薔薇色の明日)
■曲名:Good Time
■アルバム名:薔薇色の明日
■動画リンク:「Good Time」
この人の本職は何なのでしょうか。
彼はドラムの腕前は知られていますが、キーボードも演奏します。
ウィキペディアではこんな風に書かれていました。
シンガーソングライター、ドラマー、音楽プロデューサー、ファッション・デザイナー、文筆家
しかしこれだけの人ではありません。
俳優もやっていましたし。
私はこの人の才能でどれか一つ選べと言われたら、ドラムと迷った末、ボーカリストと答えます。
もちろん異論はあろうかと思います。
ドラムのプレイは、いずれYMOの記事を書く時に触れる予定です。
しかし私は彼の声を聞くと、いつも上品な育ちの良さ、そして憂いを含んだ声に聞きほれてしまいます。
甘い声ですが、ただ甘いだけではありません。
声に艶があり、ニューアンスに優れたシンガーでした。
ジャパン(Japan)で例えるならば、ボーカルではデヴィッド・シルヴィアン(David Sylvian)ドラムではスティーヴ・ジャンセン(Steve Jansen)に比肩しうる人でした。
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