今回はジャーニーのランキングを作成しました。
このバンドは産業ロックと分類されることが多いかもしれません。
産業ロックという言葉は大昔、商業主義的なつまらない音楽というような、ある種の蔑称でした。
しかし今このバンドを聞くと、単に良質なハードロックでしかありません。
いやむしろ産業ロックで結構。産業ロックはすばらしいだろうと言いたいです。
今こそ偏見なしで聞き直したいバンドです。
- 1 1位「Don’t Stop Believin’」(アルバム:Escape)
- 2 2位「Separate Ways」(アルバム:Frontiers)
- 3 3位「Suzanne」(アルバム:Raised On Radio)
- 4 4位「Any Way You Want It」(アルバム:Departure)
- 5 5位「Faithfully」(アルバム:Frontiers)
- 6 6位「Who’s Crying Now」(アルバム:Escape)
- 7 7位「Edge Of The Blade」(アルバム:Frontiers)
- 8 8位「Wheel in the Sky」(アルバム:Captured)
- 9 9位「Be Good To Yourself」(アルバム:Raised On Radio)
- 10 10位「Open Arms」(アルバム:Escape)
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1位「Don’t Stop Believin’」(アルバム:Escape)
■曲名:Don’t Stop Believin’
■曲名邦題:ドント・ストップ・ビリーヴィン
■アルバム名:Escape
■アルバム名邦題:エスケイプ
■動画リンク:「Don’t Stop Believin’」
この曲は彼らの代表曲です。
1981年に全米シングルチャート9位を記録しましたし、日本でもCMで使われていました。
その後2009年にアメリカのテレビ・ドラマ「グリー(glee)」でカバーされたことにより、20年以上経過して4位になっています。
「グリー」という言葉は、合唱のパフォーマンスとのこと。
そのアメリカのテレビ・ドラマでは、いじめられっ子の男女が、グリーの大会で優勝を目指して奮闘する話のようです。
この曲のメッセージを要約すると、次のようになります。
お腹を満たすためにハードワークしても、本心では満ち足りてはいないはずだ。
そうだろう。だったら自分の可能性を信じることを止めるんじゃない。
このアルバムタイトルは「Escape」つまり「脱出」という意味です。
アルバム・ジャケットからも「自分の殻を打ち破れ」というメッセージが伝わってきます。
2位「Separate Ways」(アルバム:Frontiers)
■曲名:Separate Ways
■曲名邦題:セパレイト・ウェイズ
■アルバム名:Frontiers
■アルバム名邦題:フロンティアーズ
■動画リンク:「Separate Ways」
もし若い頃にこのバンドのランキングを作成したら、この曲はランクインしていません。
若い頃の私は某洋楽誌が彼らを産業ロックと揶揄していたのを、少し真に受けているところがありました。
その割にはしっかり聞いていましたが(笑)
しかし今から考えると、当時の論調は一体なんだったのだろうと感じます。
最上級のヘヴィメタルを様式と切り捨て、ジャーニーを産業ロックという言葉で、いとも簡単に葬り去っていました。
ただその雑誌からは良い影響も受けたので、必要以上に非難しようとは思いませんけどね。
この曲はイントロのキーボードが印象的な曲です。
私はとっくに呪縛が解けていますから、今は素直にこの曲の魅力を認めることができます。
3位「Suzanne」(アルバム:Raised On Radio)
■曲名:Suzanne
■曲名邦題:スザンヌ
■アルバム名:Raised On Radio
■アルバム名邦題:Raised On Radio〜時を駆けて
■動画リンク:「Suzanne」
私は様々な音楽友達から影響を受けてきました。
大昔の話ですが、ある音楽仲間と話してから、産業ロックについての見方が変わりました。
彼は「硬派な音楽だから良いというのはおかしい」というようなことを言っていました。
確かにその通りです。
更に言えば、ロックっぽいだけで良い音楽というわけでもありません。
その意味で「Frontiers」の後、更に媚びたと言われるこのアルバムなどは、実は名曲の宝庫だったかもしれません。
このアルバムはハードロック色が減退して、更につまらなくなったと言われました。
しかしこの曲はいかがでしょうか。
律儀なほど、ポップでキャッチーな曲ですね。
硬派とか軟派とか、ロックとかポップとか関係なく、純粋に良い曲だと思います。
4位「Any Way You Want It」(アルバム:Departure)
■曲名:Any Way You Want It
■曲名邦題:お気に召すまま
■アルバム名:Departure
■アルバム名邦題:ディパーチャー
■動画リンク:「Any Way You Want It」
この曲は1980年にリリースされています。
まだ少しアメリカン・プログレハードの香りが残っていた頃の曲です。
このバンドは元々サンタナのメンバーであった、ニール・ショーン(Neal Schon)とグレッグ・ローリー(Greg Laurie)が独立して結成されました。
グレッグはキーボード担当でしたが「宇宙への旅立ち(Journey)」「未来への招待状(Look into the Future)」「ネクスト(Next)」の初期作品では、ボーカルも担当していました。
しかしセールス的にはかんばしくありません。
そこでボーカルにスティーヴ・ペリー(Steve Perry)を入れて、テコ入れをすることになりました。
スティーヴは曲づくりにも才能を発揮し、この曲もニール・ショーンと共作しています。
スティーヴ・ペリーの加入によって、楽曲とボーカルが強化されました。
5位「Faithfully」(アルバム:Frontiers)
■曲名:Faithfully
■曲名邦題:時への誓い
■アルバム名:Frontiers
■アルバム名邦題:フロンティアーズ
■動画リンク:「Faithfully」
このバンドの転機はいくつかあります。
最初の転機はスティーヴ・ペリーの加入で、次はジョナサン・ケイン(Jonathan Cain)の加入です。
ジョナサン・ケインは、加入するやいなや大車輪の活躍をしました。
この曲のイントロのキーボードを聞くと、彼がこのバンドで果たした役割がお分かりいただけるかもしれません。
また彼は加入すると「Escape」全曲のクレジットに名を連ねることになります。
そして加入後2作目のこのアルバムでは、単独でこの大ヒット曲を書き上げました。
ジョナサンは、ベイビーズ(The Babys)というバンドに在籍していましたが、ジャーニーに移籍したことで、ベイビーズは解散しています。
ベイビーズは「ミッシング・ユー(Missing You)」のヒットで有名なジョン・ウェイト(John Waite)も在籍していました。
ちなみに後にジョン・ウェイトはニール・ショーンと一緒に、バッド・イングリッシュ(Bad English)というハードロックバンドを結成しています。
ベイビーズとジャーニーは兄弟バンドに近いかもしれません。
6位「Who’s Crying Now」(アルバム:Escape)
■曲名:Who’s Crying Now
■曲名邦題:クライング・ナウ
■アルバム名:Escape
■アルバム名邦題:エスケイプ
■動画リンク:「Who’s Crying Now」
初期の彼らは、グレッグ・ローリーとニール・ショーンがメイン・ソングライターでした。
しかしスティーヴ・ペリーが加入すると、スティーヴとニール・ショーンの共作が大半を占めるようになりました。
その後ジョナサン・ケインが加入すると、ジョナサン、スティーヴ、ニールの3人で曲を書くようになっています。
このバンドはキャッチーな楽曲が魅力ですが、良い曲を書けるメンバーを補充したことが、後の成功に繋がったかもしれません。
この曲はジョナサンとスティーヴの共作です。
2人は後から加入した新参者ですが、既にこの頃には発言力が強かったようです。
当初ニール・ショーンは、この曲用に激しいギターソロを演奏しました。
しかしジョナサンとスティーヴの2人が、もっとシンプルに弾くようにダメ出ししたというエピソードがあります。
そこでやり直したのが3:28からのソロ演奏ですが、すばらしいギターソロですね。
ニールはサンタナ出身ですが、本家に勝るとも劣らないサステインです。
後半のニールのギターソロが、この曲のハイライトといえる出来映えになっています。
7位「Edge Of The Blade」(アルバム:Frontiers)
■曲名:Edge Of The Blade
■曲名邦題:限りなき世界
■アルバム名:Frontiers
■アルバム名邦題:フロンティアーズ
■動画リンク:「Edge Of The Blade」
ニールは基本的にギターを弾きまくりたいタイプです。
ニールはサンタナに加入する以前から有名ライブハウス、フィルモアウェストで、数々のブルース・ギタリストと共演していました。
サンタナが「キャラバンサライ(Caravanserai)」でフュージョン路線に転換するやいなや脱退し、ジャーニーを結成しています。
ニールはジャーニー以外の活動を聞いても、基本的にはハードロックをやりたい人なのかなと思います。
その意味でこういう曲は、ニールが本領発揮できる曲かもしれません。
ニールは激しい曲でも、メロディアスなプレイをする人です。
またこの曲の後半では泣きのフレーズを連発していて、私は彼のベストプレイの1つだと思っています。
8位「Wheel in the Sky」(アルバム:Captured)
■曲名:Wheel in the Sky
■曲名邦題:ホイール・イン・ザ・スカイ
■アルバム名:Captured
■アルバム名邦題:ライヴ・エナジー
■動画リンク:「Wheel in the Sky」
ライブ・アルバムからの曲をご紹介します。
オリジナルは「インフィニティ(Infinity)」に収録されています。
ただこちらのライブ・バージョンの方が良い出来かもしれません。
彼らの全盛期は「Escape」「Frontiers」「Raised on Radio」だと言われますが、私は「Captured」も全盛期に加えたいと思います。
このアルバムでは「Infinity」「エヴォリューション(Evolution)」「Departure」あたりの曲を中心に演奏しています。
全盛期に比べると、楽曲の魅力は落ちる時期かもしれません。
しかしそれを補って余りあるのが、ライブ・バンドとしての演奏力。
この曲を始めとして、かなりパワーアップして再現しています。
9位「Be Good To Yourself」(アルバム:Raised On Radio)
■曲名:Be Good To Yourself
■曲名邦題:トゥ・ユアセルフ
■アルバム名:Raised On Radio
■アルバム名邦題:Raised On Radio〜時を駆けて
■動画リンク:「Be Good To Yourself」
彼らは売れてから内紛が多くなりました。
スティーヴ・ペリー、ニール・ショーン、ジョナサン・ケインの存在が高まりました。
その一方でスティーヴ・スミス(Steve Smith)とロス・ヴァロリー(Ross Valory)の存在感が希薄になったかもしれません。
このアルバムではスティーヴ・スミスは3曲だけの参加、ロス・ヴァロリーにいたっては演奏していません。
マネージャーのハービー・ハーバート(Herbie Herbert)によって、ロスは解雇されたようです。
中心人物の1人スティーヴ・ペリーも、ソロアルバム「ストリート・トーク(Street Talk)」をリリースし、バンドから気持ちが離れかけていました。
スティーヴ・ペリーはこのアルバムでプロデューサーを兼務すると、翌年バンドから脱退してしまいます。
さて彼らのアルバム名を並べると、興味深いことが分かります。
「Departure(出発)」→「Captured(捕獲)」→「Escape(脱出)」→「Frontiers(新天地)」
そしてこのアルバムのタイトルは当初「Freedom(自由)」だったようです。
つまり以下のようになる予定でした。
出発→捕獲→脱出→新天地→自由
しかしスティーヴの発案で「Raised On Radio」に変更したそうです。
スティーヴはバンドの内紛などもあり「自由」というアルバム名がふさわしくないと思ったのかもしれません。
10位「Open Arms」(アルバム:Escape)
■曲名:Open Arms
■曲名邦題:オープン・アームズ
■アルバム名:Escape
■アルバム名邦題:エスケイプ
■動画リンク:「Open Arms」
この曲は彼らの代表的なバラードです。
先程産業ロックというジャンルは、軽視される風潮があったと書きました。
昔ある音楽ライターが、産業ロックの特徴として「感動できない大ヒットバラードがある」と書いていたことを覚えています。
彼が言っている中には、この曲も入っていたかもしれません。
当時私は若すぎて自分の意見に自信が持てず、そういうものなのかなと思っていました。
しかしその後多くの音楽を聞いてきた結果、今でははっきり言い切ることができます。
この曲は名曲です。
実際この曲は、2004年に映画「海猿」の主題歌として使われました。
先程の「Don’t Stop Believin’」と同じく、この曲も20年以上経過して、再び脚光を浴びたというわけです。
彼らの音楽には時代を超える普遍的な魅力があると、映画やテレビ・ドラマ制作者が考えたのでしょう。
商業的にこの曲がふさわしいと。
そう考えると、正しい意味で産業ロックといえるバンドかもしれません。
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