今回はジェリー・マリガンのランキングを作成しました。
この人はウェストコースト・ジャズを代表するバリントン・サックス奏者です。
一方彼はアレンジャーでもあって、小編成でも巧みなアレンジが魅力でした。
- 1 1位「Morning of the Carnival」(アルバム:Night Lights)
- 2 2位「Bernie’s Tune」(アルバム:Original Gerry Mulligan Quartet)
- 3 3位「Love Me Or Leave Me」(アルバム:Paris Concert)
- 4 4位「Capricious」(アルバム:Jeru)
- 5 5位「Decidedly」(アルバム:Mulligan Meets Monk)
- 6 6位「Frenesi」(アルバム:Original Gerry Mulligan Quartet)
- 7 7位「Line for Lyons」(アルバム:Blues in Time)
- 8 8位「The Surrey With the Fringe on Top」(アルバム:Reunion with Chet Baker)
- 9 9位「Festival Minor」(アルバム:What Is There To Say?)
- 10 10位「Blueport」(アルバム:Gerry Mulligan and the Concert Jazz Band at the Village Vanguard)
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1位「Morning of the Carnival」(アルバム:Night Lights)

■曲名:Morning of the Carnival
■曲名邦題:カーニヴァルの朝
■アルバム名:Night Lights(1963年)
■アルバム名邦題:ナイト・ライツ
■動画リンク:「Morning of the Carnival」
このアルバムはマリガンの最高傑作の1つ。
この曲を筆頭に聞きやすい曲が多く、ジャズの初心者に最初の1枚としておすすめします。
ただジャズに詳しい方にも充分おすすめです。
たとえばこの曲は、アート・ファーマー(Art Farmer)のフリューゲルホルンが絶品ですし。
3:28からのジム・ホール(Jim Hall)のギターもいいですね。
このアルバムでは、以下の曲も聞き逃せません。
Gerry Mulligan – Prelude in E Minor
上の曲は、私が尊敬する油井正一氏のラジオ番組「アスペクト・イン・ジャズ」のテーマ曲としても知られています。
私はこのアルバムを、油井正一氏のディスクガイドで知りました。
玄人中の玄人である油井正一氏ほどのジャズ評論家も、このアルバムを高く評価していたのですね。
2位「Bernie’s Tune」(アルバム:Original Gerry Mulligan Quartet)

■曲名:Bernie’s Tune
■曲名邦題:バーニーズ・チューン
■アルバム名:Original Gerry Mulligan Quartet(1953年)
■アルバム名邦題:オリジナル・ジェリー・マリガン・カルテット
■動画リンク:「Bernie’s Tune」
マリガンの代表作として挙げられることの多い作品です。
先程の「Night Lights」の主役は、必ずしもマリガンではありませんでした。
この人は必ずしもプレイヤー視点ではなく、音楽監督としての視点を持った人でした。
マリガンの演奏だけでいえば、このアルバムの方が上かもしれません。
特にこの曲は名演として知られています。
37秒のところからのマリガンの演奏は、安定して質の高い演奏を残した彼の中でも屈指の名演だと思います。
このアルバムでは、チェット・ベイカー(Chet Baker)と共演しています。
特に1:55から、チェット・ベイカーとマリガンが互いにカウンター・メロディを紡ぎ出していますが、こうした対位法的な絡みがこのグループの特徴でした。
バリントン・サックスとトランペットという、かなり音域が違う組み合わせの妙味を感じます。
3位「Love Me Or Leave Me」(アルバム:Paris Concert)

■曲名:Love Me Or Leave Me
■曲名邦題:ラヴ・ミー・オア・リーヴ・ミー
■アルバム名:Paris Concert(1954年)
■動画リンク:「Love Me Or Leave Me」
マリガンは多くのプレイヤーと共演してきた人です。
その中でボブ・ブルックマイヤー(Bob Brookmeyer)との共演は忘れることができません。
ボブ・ブルックマイヤーはトロンボーン奏者です。
バリントンとトロンボーんは共に低音部が特徴の楽器で、とかく音の立ち上がりが遅く演奏自体も重く、そのせいかモソモソとしたり地味になりがちです。
しかしこの演奏を聞く限り、どちらの演奏も軽快で、低音楽器特有のハンデを感じません。
時々ジャズ好きには低音フェチみたいな人がいますが、この曲はそういう方にうってつけです。
軽快さを欠くという弱点がなく、低音の響きを味わえる逸品です。
ソロ回しは先にバリントン、次にトロンボーンだと思いますが、同じ低音楽器でも音色の違いを楽しめますね。
このアルバムは1954年パシフィック・ジャズ・レコード(Pacific Jazz Records)からリリースされています。
パシフィック・ジャズ・レコードは、ウェストコースト・ジャズを代表するレーベル。
この種の音楽がお好きな方は、ぜひ掘ってみてください。
4位「Capricious」(アルバム:Jeru)

■曲名:Capricious
■曲名邦題:カプリシャス
■アルバム名:Jeru(1962年)
■アルバム名邦題:ジェル
■動画リンク:「Capricious」
私はジャズの記事では、普通のジャズとは少し毛色が違った曲を取り上げることがあります。
この記事ではこの曲を選んでみました。
バリントン・サックスのワンホーンで、ほのぼのと演奏していますね。
マリガンの魅力のコアは、意外とこういう肩の力が抜けたところかもしれません。
マリガンというとピアノレス編成が多いのですが、このアルバムでは珍しくピアノが入っています。
ピアノは名手トミー・フラナガン(Tommy Flanagan)。
ソロ・アルバムのフラナガンは強いタッチの演奏もありますが、サイドに回った時はホーン奏者を立てるいぶし銀の役割をします。
マリガンはピアニストが嫌いなのではなく、音の空間を埋め尽くすタイプのピアニストが苦手なだけだったかもしれません。
その点フラナガンと次にご紹介するセロニアス・モンク(Thelonious Monk)とは相性が良かったと思います。
5位「Decidedly」(アルバム:Mulligan Meets Monk)

■曲名:Decidedly
■曲名邦題:デサイデッドリー
■アルバム名:Mulligan Meets Monk(1957年)
■アルバム名邦題:マリガン・ミーツ・モンク
■動画リンク:「Decidedly」
マリガンの最高傑作について、一般的には「Night Lights」と「Original Gerry Mulligan Quartet」が有力候補です。
しかし私は、このアルバムもその一角に加えたいと思います。
このアルバムではジャズの鬼才、セロニアス・モンクと共演しています。
モンクといえば独特の間合いを持った訥弁のピアノが特徴の人ですが、一方で古い音楽の豊かさを受け継いだ人でもありました。
そしてマリガンも同じくオールド・タイミーな資質を感じます。
ロック畑でいえば、ジョン・サイモン(John Simon)などとも、共通しているかもしれません。
そうした資質のせいか、マリガンは古い時代の人と共演する傾向があります。
他には「Gerry Mulligan Meets Johnny Hodges」「Gerry Mulligan Meets Ben Webster」などにも、古き良きジャズの香りを感じます。
6位「Frenesi」(アルバム:Original Gerry Mulligan Quartet)

■曲名:Frenesi
■曲名邦題:フレネシー
■アルバム名:Original Gerry Mulligan Quartet(1953年)
■アルバム名邦題:オリジナル・ジェリー・マリガン・カルテット
■動画リンク:「Frenesi」
このアルバムからは2曲取り上げました。
しかしそれ以外にも名演が多く、2曲に絞るのは苦渋の決断でした。
文中でもう1曲ご紹介しておきましょう。
Gerry Mulligan – Lullaby Of The Leaves
当時このグループはかなりの人気を博していました。
曲はどれも1952年か1953年に録音されましたが、当時は小編成でこのような洗練されたアレンジはほぼありませんでした。
マリガンは、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)の「クールの誕生 (Birth of the Cool)」にもかかわった人。
彼はこのアルバムにその成果を持ち帰りました。
多くの曲は2-3分程度ですが、知的で趣味の良いアレンジが施されています。
私はジャズに対して、演奏そのものは良いけれど、曲としてはどうだろうと思うことがあります。
しかしこの曲ではアレンジとアドリブが自然な形で融合していて、通して聞いた時充実感があります。
7位「Line for Lyons」(アルバム:Blues in Time)

■アーティスト名:Gerry Mulligan & Paul Desmond
■アーティスト名カナ:ジェリーマリガン & ポールデスモンド
■曲名:Line for Lyons
■曲名邦題:ライン・フォー・リヨン
■アルバム名:Blues in Time(1957年)
■アルバム名邦題:ブルース・イン・タイム
■動画リンク:「Line for Lyons」
彼は様々な人と共同名義で作品をリリースしていますが、その中で私はこのアルバムを偏愛しています。
お相手はポール・デスモンドで、洒脱な人同士の演奏を聞かせてくれています。
ジャズに何を求めるのか、人によってかなり異なります。
黒さと音楽にエッジを求めるかどうか、そこが分かれ目かもしれません。
マリガンやポール・デスモンドなどのウェストコースト・ジャズは概して流麗なので、尖ったジャズが好みの人は物足りなく感じることがあるかもしれません。
また両者とも本来の資質は、必ずしも黒くありません。
ただ表面上なめらかで洗練されたその土台には、ニューアンスに富んだ豊かな音の世界があります。
一例としてこの曲をお聞きください。
決して激しくありませんし黒すぎもしませんが、そこに含まれる豊かな味わいには格別なものがあります。
今回マリガンを聞きなおして、この人の音楽は極上のカフェ・ミュージックだと思いました。
2人の共演は好評だったらしく「トゥー・オブ・ア・マインド(Two of a Mind)」という続編もリリースされています。
8位「The Surrey With the Fringe on Top」(アルバム:Reunion with Chet Baker)

■曲名:The Surrey With the Fringe on Top
■曲名邦題:飾りのついた四輪馬車
■アルバム名:Reunion with Chet Baker(1958年)
■アルバム名邦題:リユニオン・ウィズ・チェット・ベイカー
■動画リンク:「The Surrey With the Fringe on Top」
このアルバムでは、チェット・ベイカーと再会しています。
ただ再会といっても、こちらは1957年のアルバムですので4-5年の空白にすぎませんが。
前回共演したGerry Mulligan Quartetは、とても残念な終わり方をしました。
チェットベイカーを加えたバンドは、当時大変な人気を博したようです。
しかし1953年マリガンが麻薬で捕まってしまい、そのため1年で解散することになりました。
身から出た錆とはいえ、さぞかし無念だったことでしょう。
このアルバムではチェットと再会し、当時と同じピアノレスの編成で製作されました。
正直なところ、出来自体は当時と比べるべくもありません。
ただこの曲などはとても楽しそうに演奏していて、聞いているこちらにも楽しさが伝わってきます。
9位「Festival Minor」(アルバム:What Is There To Say?)

■曲名:Festival Minor
■曲名邦題:フェスティヴァル・マイナー
■アルバム名:What Is There To Say?(1959年)
■アルバム名邦題:ホワット・イズ・ゼア・トゥ・セイ
■動画リンク:「Festival Minor」
このアルバムは代表作「Night Lights」の前哨戦といえるかもしれません。
同じくアート・ファーマーと共演しているだけでなく、この曲は「Night Lights」でも取り上げられています。
このアルバムは以前知る人ぞ知る作品でしたが、あるきっかけから知られるようになりました。
村上春樹の「ポートレイト・イン・ジャズ」というエッセイで、ジェリー・マリガンの一枚として、このアルバムが紹介されたようです。
ただ当時の私はそこまで良いだろうかと思っていました。
この曲は後に「Night Lights」で再演しているバージョンの方が上だろうと。
こちらの演奏はふくよかな音色が魅力のアート・ファーマーがミュートを付けていて、ついもったいと思ってしまいます。
しかし今回聞きなおして、このうら寂れたミュートの演奏も悪くないと思えてきました。
加えてマリガンの演奏は、こちらの方が出来が良いかもしれません。
10位「Blueport」(アルバム:Gerry Mulligan and the Concert Jazz Band at the Village Vanguard)

■曲名:Blueport
■曲名邦題:ブルーポート
■アルバム名:Gerry Mulligan and the Concert Jazz Band at the Village Vanguard(1961年)
■アルバム名邦題:ジェリー・マリガン&ザ・コンサート・ジャズ・バンド
■動画リンク:「Blueport」
当初のマリガンはプレイヤーではなく、アレンジャーとして注目を浴びる存在でした。
1940年代後半からフィラデルフィアで活動を開始、ギル・エヴァンスとの出会いをきっかけにクロード・ソーンヒルのビッグバンドなどのためにアレンジを本格的に手がけるようになり、二十歳そこそこの若さにして、洗練されたモダンなアレンジで、ソフトなダンスバンドであったソーンヒル楽団のスタイル革新に貢献した。
その後彼は「クールの誕生 (Birth of Cool)」への参加を経て、名門スタン・ケントン・オーケストラ(Stan Kenton & His Orchestra)にアレンジを提供しています。
初期の彼はピアノレスのカルテットで、小規模編成の可能性を切り開きました。
その後彼は元の居場所かのようにビッグ・バンドに戻り、このアルバムでアレンジャーとして腕をふるいました。
思えばこの人はいつもそうでした。
多くの関係性の中で、古い音楽の魅力を適度な革新性を持ち、洗練した音楽として表現しようとした人。
自身が一流のプレイヤーでありながら、単独ではなく人との絡みを通じて、自分の個性を表現しようとしました。
このビッグ・バンドの演奏も、その延長線上に位置しています。
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