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スタン・ゲッツ(Stan Getz)の名曲名盤10選【代表曲・隠れた名曲】

今回はスタン・ゲッツのランキングを作成しました。

言わずと知れたジャズジャイアントですから、良い演奏をご紹介しようとしたらキリがありません。

そこで今回は名演ではなく、名曲に焦点を当てて選曲をしてみました。

半分はボサノヴァの曲ですが、それ以外でもくつろげる曲を多めにしています。

美しい演奏の数々をぜひご堪能ください。

 

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1位「Cherokee」(アルバム:Hamp and Getz)

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■曲名:Cherokee
■曲名邦題:チェロキー
■アルバム名:Hamp and Getz
■アルバム名邦題:ハンプ&ゲッツ
■動画リンク:「Cherokee」
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このアルバムは無名の部類だと思いますが、私は隠れた名盤だと思います。

特にこの曲ではゲッツのテナー・サックスが躍動していて、どこまでも登りつめていくかのような演奏をしています。

1950年代の演奏はそれ以前に比べて、ホットな演奏が増えてきていますが、その最良一例といえるかもしれません。

このアルバムは、ヴィブラフォン奏者のライオネル・ハンプトン(Lionel Hampton)との共同名義です。

ライオネル・ハンプトンは有名なジャズスタンダード「スターダスト(Stardust)」の作者として有名な人です。

スローの「スターダスト」とは違って、この曲ではライオネル・ハンプトンも熱気のある演奏をしていますね。

特に6分すぎぐらいからサックスに切り込んでいく、高速のヴィブラフォンは必聴です。

 

2位「Grandfather’s Waltz」(アルバム:Stan Getz & Bill Evans)

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■曲名:Grandfather’s Waltz
■曲名邦題:グランドファーザーズ・ワルツ
■アルバム名:Stan Getz & Bill Evans
■アルバム名邦題:スタン・ゲッツ&ビル・エヴァンス
■動画リンク:「Grandfather’s Waltz」
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こちらはビル・エバンス(Bill Evans)との共同名義の作品です。

イントロはいつものビル・エバンスらしく、パラパラと散文的に弾いていますね。

1:16になってようやくゲッツのサックスが始まりますが、出だしのすするような小粋な歌わせ方が絶品です。

この曲はとにかくメロディがすばらしいです。

ビル・エバンスは「ワルツ・フォー・デビイ(Waltz for Debby)」という愛らしい自作曲がありますが、この曲はビルの作曲ではありません。

ゲッツはこの曲が気に入ったのか「Getz/Gilberto #2」でも演奏していますが、そちらもゲイリー・バートン(Gary Burton)のヴィブラフォンがすばらしい名演です。

しかしこんな良い曲なのに、この2人以外にあまり取り上げていないのは、少しもったいない気がしてしまいます。

 

3位「Corcovado (Quiet Nights of Quiet Stars)」(アルバム:Getz/Gilberto (with Joao Gilberto))

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■曲名:Corcovado (Quiet Nights of Quiet Stars)
■曲名邦題:コルコヴァード
■アルバム名:Getz/Gilberto (with Joao Gilberto)
■アルバム名邦題:ゲッツ/ジルベルト
■動画リンク:「Corcovado (Quiet Nights of Quiet Stars)」
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ゲッツのボサノヴァは、どの曲が一番とは言い難いところがあるかもしれません。

というのは、曲の出来はいいけれど、ゲッツの演奏がいまひとつの曲があるからです。

一方ジョアン・ジルベルトは常に高水準のパフォーマンスを発揮しています。

ゲッツのボサノヴァで、あまりいろいろ考えず単純に好きな曲を挙げると、このあたりに落ち着くかもしれません。

まずアストラッド・ジルベルト(Astrud Gilberto)の澄んだボーカルから始まりますが、彼女はこの日が初レコーディングでした。

当時彼女はジョアンの妻という立場の素人でした。

たまたまスタジオに同行した彼女に試しに歌ってみるようにすすめたら、すばらしい歌だったのでそのまま採用されたと言われています。

ただ実際は、アストラッドは元々歌手志望で、最初から歌う気が満々だったようですが。

実際にスタジオに来ると、アストラッドは歌いたいと志願しました。

一方プロデューサーのクリード・テイラー(Creed Taylor)も、アメリカで受け入れられるために、英語の歌があった方がいいと思っていたところでした。

つまり主役であるはずのゲッツやジョアンとは関係ないところで、2人の利害が一致してこの名曲が生まれたというのが真相のようです。

それが大ヒットしたので、結果オーライだったかもしれません。

 

4位「Chega de Saudade」(アルバム:Getz/Gilberto ’76 (with Joao Gilberto))

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■曲名:Chega de Saudade
■曲名邦題:想いあふれて
■アルバム名:Getz/Gilberto ’76 (with Joao Gilberto)
■アルバム名邦題:ゲッツ/ジルベルト’76
■動画リンク:「Chega de Saudade」
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単なるボサノヴァの1曲ではなく、特別な意味を持った曲です。

この曲は1958年にボサノヴァとして最初にレコーディングされた曲だと言われています。

つまり現在のボサノヴァの曲は、この曲から始まったということになるかもしれません。

私はこの曲が全てのボサノヴァの曲の中で一番好きで、この曲が入っているCDは無条件に買ってしまうようなところがあります。

さて先程ご紹介した「Getz/Gilberto」は世界的に大ヒットして、ゲッツはグラミー賞を4部門受賞しました。

ただゲッツは歌もののボサノヴァが得意ではないという人も多いですし、実は私も一部同意するところがあります。

しかし中にはこの曲のように、すばらしい演奏もあります。

私が思うボサノヴァの禁じ手は、濃厚すぎる、雄弁すぎる、ビックブロウあたりだと思いますが、ここではきちんとその地雷を避けて演奏しています。

 

5位「E Luxo So (Ary Barroso)」(アルバム:Jazz Samba (with Charlie Byrd))

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■曲名:E Luxo So (Ary Barroso)
■曲名邦題:エ・ルーショ・ソ
■アルバム名:Jazz Samba (with Charlie Byrd)
■アルバム名邦題:ジャズ・サンバ
■動画リンク:「E Luxo So (Ary Barroso)」
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年配のジャズファンほどゲッツのボサノヴァが好きではないという傾向があるような気がします。

私はジャズではなく、イージーリスニングだと考えたらいいと思います。

イージーリスニングにはイージーリスニングなりの良さがありますからね。

この曲はイージーリスニングの曲として聞いたら、それなりに楽しめる曲ではないでしょうか。

ちなみに私はゲッツのアドリブでは1950年あたりが一番だと思っています。今聞いても奇跡的にフレーズが古びていません。

ただその頃の代表作「ザ・コンプリート・ルースト・セッション(Complete Roost Recordings)」などを聞いても、当時既にこういう演奏をする萌芽があったように思います。

たとえば当時の決定的名演とされている「イエスタデイズ(Yesterdays)」という曲があります。

Stan Getz Quartet – Yesterdays

陰影に富んだメロディの解釈は、さすがとしか言いようがありません。

ただおそらく当時のリスナーは、その演奏を高級イージーリスニングみたいな感じで聞いていたのではないでしょうか。

元々この人はスムースで美しいメロディを吹かせたら当代随一の人です。

イージーリスニングの方向に振れたとしても、悪かろうはずがありません。

 

6位「Menina Moca (Young Lady)」(アルバム:Stan Getz with Guest Artist Laurindo Almeida)

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■曲名:Menina Moca (Young Lady)
■曲名邦題:若い娘
■アルバム名:Stan Getz with Guest Artist Laurindo Almeida
■アルバム名邦題:ゲッツ/アルメイダ
■動画リンク:「Menina Moca (Young Lady)」
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この曲はかなりの名曲だと思います。

ただこのアルバムと、ダスコ・ゴイコヴィッチ(Dusko Gojkovic)の「Samba Tzigane」ぐらいでしか聞いたことがありません。

そもそもどういう曲がよく分からないので調べてみたところ、こういう記事が見つかりました。

小娘Menina Moça〜イパネマの娘よりも人気があったという“忘れられた”ボサノヴァの名曲

上のサイトによると、この曲は一時はかなり流行ったそうですが、ちょっとした派閥争いによって、今では忘れられた名曲になってしまったそうです。

一方スタン・ゲッツは1957年には7枚、1958年には5枚のアルバムを出していますから、かなりの売れっ子だったことが分かります

当時彼は麻薬代を稼ぐために精力的に仕事をこなしていましたが、それでもお金が足りない有様でした。

1954年には注射用のモルヒネを入手するために強盗をして有罪判決を受けていますし、その後もヘロイン中毒で実刑判決を受けています。

しかし1959年と1960年はレコーディングがありません。

麻薬トラブルに明け暮れた1950年代の終わり頃、彼は北欧に移住して、一時はジャズを離れて隠遁生活を送っていました。

それが1959年と1960年というわけですが、当時は彼自身がこの曲のように忘れられかけていたのですね。

 

7位「Just One of Those Things」(アルバム:The Best of Two Worlds)

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■曲名:Just One of Those Things
■曲名邦題:ジャスト・ワン・オブ・ゾーズ・シングス
■アルバム名:The Best of Two Worlds
■アルバム名邦題:ゲッツ・ジルベルト・アゲイン
■動画リンク:「Just One of Those Things」
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これも「Getz/Gilberto」の続編アルバムで、当然ジョアン・ジルベルトも参加しています。

最初の「Getz/Gilberto」のレコーディングで2人は、かなり険悪な関係になったと言われています。

ジョアンはアントニオ・カルロス・ジョビンに罵倒の言葉の翻訳して伝えるように依頼したところ、困ったジョビンは「あなたのテナーはすばらしい」と伝えました。

しかしゲッツはジョアンの様子を見て「彼はそう言っていないようだね」と答えたという逸話が残っています。

さてその経緯をふまえてジャケットを見ると、真ん中のゲッツと右にいるジョアンの接触部分が少し不自然に感じないでしょうか。

では今度は裏ジャケも見てみましょう。

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同じ写真にもかかわらずゲッツがジョアンの方に不自然に寄りかかっていますが、おそらく合成写真なのでしょうね。

もう一つ私が長年不思議に思っていることがあります。

なぜゲッツはジョアンと共演すると、不用意に大味なブロウをしてしまうのか。

おそらくジョアンは、ゲッツが自分の演奏の後に、曲の雰囲気を壊す大きな音で割り込んでくるのが気に食わなかったと思いますけどね。

そのせいで多くのブラジル音楽ファンからも、ゲッツはボサノヴァを分かっていないと非難されています。

もしかしたらジョアンとの関係悪化が、そういう演奏に影響しているのかもしれません。

しかしこの曲などはいかがでしょうか。

1:28からの入り方は少し唐突ですが、ミウシャ(Miucha)ことエロイザ・ブアルキ(Heloisa Buarque)のボーカルに対して、いい感じに絡んでいます。

こういうのが本来のゲッツの演奏なんですけどね。

 

8位「Liz-Anne」(アルバム:Cal Tjader-Stan Getz Sextet)

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■曲名:Liz-Anne
■曲名邦題:リズ・アン
■アルバム名:Cal Tjader-Stan Getz Sextet
■アルバム名邦題:カル・ジェイダー-スタン・ゲッツ・セクステット
■動画リンク:「Liz-Anne」
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彼は既に若い頃にクールな演奏で名声をほしいままにしていました。

その後彼は1952年ぐらいから、より温かみのある演奏をするようになりました。

その過程で彼は様々な人と共演し、音楽性の幅を広げることに成功しています。

1950年代の主だった共演者を挙げておきましょう。

ライオネル・ハンプトン(Lionel Hampton)
ビル・エバンス(Bill Evans)
オスカー・ピーターソン(Oscar Peterson)
ジェリー・マリガン(Gerry Mulligan)
チェット・ベイカー(Chet Baker)
J・J・ジョンソン(J.J.Johnson)
ディジー・ガレスピー(Dizzy Gillespie)

どの人もビックネームばかりです。さぞかし刺激になったことでしょう。

その中で一番異色な共演が、カル・ジェイダーとの共演です。

カルジェイダーはラテン色の強いヴィブラフォン奏者で、すばらしいプレイヤーですが、メインストリームのジャズとは少し毛並みが違う人かもしれません。

しかしこの曲などは、とてもリラックスした良い演奏だと思います。

私はゲッツに関してすごいと思う演奏と、好きな演奏がかなり違います。

この曲とか「スタン・ゲッツ・プレイズ(Stan Getz Plays)」みたいなくつろいだ演奏は、好きな方の演奏です。

 

9位「La Fiesta」(アルバム:Captain Marvel)

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■曲名:La Fiesta
■曲名邦題:ラ・フィエスタ
■アルバム名:Captain Marvel
■アルバム名邦題:キャプテン・マーヴェル
■動画リンク:「La Fiesta」
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この曲はリターン・トゥ・フォーエヴァー(Return to Forever)で有名な曲です。

オリジナルをご存知の方は、演奏もリターン・トゥ・フォーエヴァーっぽいと思われるかもしれません。

それもそのはず、この曲のメンバーはリターン・トゥ・フォーエヴァーと3人かぶっています。

チック・コリア(Chick Corea)、スタンリー・クラーク(Stanley Clarke)、アイアート・モレイラ(Airto Moreira)という中核の3人が同じです。

同じ曲をほぼ同じメンバーで演奏しているのですから、似ていて当然かもしれません。

違いはジョー・ファレル(Joe Farrell)がゲッツになっていることと、こちらにはトニー・ウィリアムス(Tony Williams)のドラムが入っているところです。

こちらはテナーサックスなので、本家よりもサックスの音域が低めになっています。

ゲッツは名作「スウィート・レイン(Sweet Rain)」で共演してから、チック・コリアとは非常に近い関係にありました。

当時の新進気鋭の若手プレイヤーがお膳立てした上で、ゲッツは力強くブロウしています。

トニーのドラムが煽っているせいかもしれません。

ベテラン2人が熱く若手がクールに演奏していますが、そのギャップがおもしろい演奏です。

 

10位「First Song」(アルバム:People Time)

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■曲名:First Song
■曲名邦題:ファースト・ソング
■アルバム名:People Time
■アルバム名邦題:ピープル・タイム
■動画リンク:「First Song」
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彼は貧しい家庭に生まれ、早くから音楽の才能を発揮するようになると、次第にドラックに耽溺するようになりました。

麻薬中毒を脱すると、次にアルコール中毒になって、後年は癌と戦うことになりました。

演奏の甘美さに比べて、ハードモードの人生だったかもしれません。

ちなみにスタン・ゲッツは村上春樹が大ファンなことで知られています。

たびたび小説の中でもゲッツの曲が登場していますし、評伝を翻訳するほどの執心ぶりです。

その本の中で村上春樹は、ゲッツの音楽についてこう書いています。

酒やクスリに溺れていても、ひとたびステージに上がれば自由自在な即興が冴えわたり、どんな楽曲も美しく演奏せずにはいられない。

フィッツジェラルドこそが小説であり、スタン・ゲッツこそがジャズであった

ただ一方でゲッツはこれだけの大物でありながら、好き嫌いが分かれるプレイヤーかもしれません。

嫌いな人は「いいのは分かるけど、お腹に響いてこないんだよ」みたいな感じのことを言いたいのだと思います。

確かに私もそう感じることもありますが、美しすぎる音楽とはえてしてそういうものかもしれないと思っていました。

しかしこの彼の遺作では、いつもの演奏とは違うかもしれません。

この頃ゲッツは癌が進行して、既に末期状態になっていました。

このライブは1991年3月の演奏ですが、彼は同年6月6日に亡くなっています。

共演したケニー・バロン(Kenny Barron)によると、この時ゲッツはギリギリの状態で演奏していたそうです。

そのせいかここには初期のような甘美な流麗さはありません。

しかしそれにもかかわらずこの演奏には、真に迫り無骨に訴えかけてくるものがあります。

最後の最後になって、彼の演奏には凄みが加わったように思います。

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