今回はイエスのランキングを作成しました。
最初に申し上げておくと、今回選んだ曲はかなりバラエティに富んでいます。
またいつもと違って、時系列順に曲を並べています。
便宜上順位を付けていますが、単なる並び順にすぎません。
彼らがどのような変遷をたどって変化したのか、分かりやすくまとめてみました。
- 1 1位「Time and a Word」(アルバム:Time and a Word)
- 2 2位「Yours Is No Disgrace」(アルバム:The Yes Album)
- 3 3位「Roundabout」(アルバム:Fragile)
- 4 4位「Long Distance Runaround」(アルバム:Fragile)
- 5 5位「Close to the Edge」(アルバム:Close to the Edge)
- 6 6位「Siberian Khatru」(アルバム:Yessongs)
- 7 7位「The Gates of Delirium」(アルバム:Yesshows)
- 8 8位「Release, Release」(アルバム:Tormato)
- 9 9位「Owner Of A Lonely Heart」(アルバム:90125)
- 10 10位「Open Your Eyes」(アルバム:Open Your Eyes)
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1位「Time and a Word」(アルバム:Time and a Word)
■曲名:Time and a Word
■曲名邦題:時間と言葉
■アルバム名:Time and a Word
■アルバム名邦題:時間と言葉
■動画リンク:「Time and a Word」
セカンド・アルバムからの選曲です。
まだ個性が確立する前のアルバムですが、この時期が好きという人も少なくありません。
この時期の音楽は、一言でいえばアート・ロックです。
アートロックとは、既存のポピュラー・ミュージックの枠から外れたロックのことです。
ウィキペディアに説明がありますが、範囲を広くとらえすぎているように思いました。
具体的には、ヴァニラ・ファッジ(Vanilla Fudge)、アイアン・バタフライ(Iron Butterfly)あたりがド真ん中だと思います。
曲が長くて、小難しい部分をアートとして主張しているイメージでしょうか。
このアルバムでは、アルバム名とキューブリックを意識したようなアルバム・ジャケットが現代アートっぽいです。
この曲はメロディが美しく、比較的聞きやすいと思います。
2位「Yours Is No Disgrace」(アルバム:The Yes Album)
■曲名:Yours Is No Disgrace
■曲名邦題:ユアーズ・イズ・ノー・ディスグレイス
■アルバム名:The Yes Album
■アルバム名邦題:イエス・サード・アルバム
■動画リンク:「Yours Is No Disgrace」
彼らはこのアルバムから全盛期が始まったと言われています。
ターニング・ポイントになったのは、ギターのスティーヴ・ハウ(Steve Howe)の加入。
2曲名の「クラップ(Clap)」は彼のギターソロの曲で、既に中心人物の1人になっている感じがします。
このアルバムには、有名曲が数多く収録されています。
もう2曲「スターシップ・トゥルーパー(Starship Trooper)」「アイヴ・シーン・オール・グッド・ピープル(I’ve Seen All Good People)」のリンクを貼っておきましょう。
Yes – I’ve Seen All Good People
どちらも長い曲なので、お時間に余裕のある方だけ聞いてみてください。
さて「Yours Is No Disgrace」を聞いていきましょう。
まずこの曲でイエスらしさを感じるのは、1:30からのコーラスです。
これからの記事では度々こういうコーラスを聞くことになりますので、初めての方はここで覚えておいていただければと思います。
3位「Roundabout」(アルバム:Fragile)
■曲名:Roundabout
■曲名邦題:ラウンドアバウト
■アルバム名:Fragile
■アルバム名邦題:こわれもの
■動画リンク:「Roundabout」
この曲はシングルカットされ、全米13位を記録しました。
まずイントロのハウのギター、その後ゴリゴリ突き進むクリス・スクワイアの演奏がすばらしいです。
その後3:25から早い展開になりますが、ここではビル・ブルーフォードのドラムにご注目ください。
彼の特徴であるタイトでパーカッシブな演奏を聞くことができます。
その後のハウとリック・ウェイクマンの掛け合いも聞きものですが、その部分はシングル・バージョンではカットされました。
シングルのリンクを貼っておきましょう。
Yes – Roundabout (Single Edit)
この曲がヒットしたおかげで、アルバムも全米4位まで駆け上がりました。
一番ヒットしたわけでもなく、最も有名な曲でもありませんが、彼らの代表曲といえばこの曲です。
4位「Long Distance Runaround」(アルバム:Fragile)
■曲名:Long Distance Runaround
■曲名邦題:遥かなる想い出
■アルバム名:Fragile
■アルバム名邦題:こわれもの
■動画リンク:「Long Distance Runaround」
シングル「Roundabout」のB面になった曲です。
このアルバムでは、リック・ウェイクマンが加入したことで、全盛期のメンバーがそろいました。
改めてこの頃のメンバーをご紹介しておきましょう。
・ジョン・アンダーソン(Jon Anderson):ボーカル
・スティーヴ・ハウ(Steve Howe):ギター
・クリス・スクワイア(Chris Squire):ベース
・リック・ウェイクマン(Rick Wakeman):キーボード
・ビル・ブルーフォード(Bill Bruford):ドラム
よくもこれだけの才能がそろったなと思わずにはいられません。
まさにプログレ界のドリーム・チームです。
加えてアルバム・ジャケットでも、ロジャー・ディーンのイラストが初めて採用されました。
ただレコーディングは大変だったようですね。
ウェイクマンの談によれば、アルバム名はレコーディング中のバンドの状態から名づけられたとされている。
ただ作品を聞く限り、バンド内の緊張は良い方向に働いたかもしれません。
5位「Close to the Edge」(アルバム:Close to the Edge)
■曲名:Close to the Edge
■曲名邦題:危機
■アルバム名:Close to the Edge
■アルバム名邦題:危機
■動画リンク:「Close to the Edge」
イエスの最高傑作の誉れ高い作品です。
確かに前作「Fragile」には、良い楽曲がそろっていました。
上に上げた2曲以外にも「燃える朝やけ(Heart of the Sunrise)」という有名曲も入っていますし。
しかしそれでもなお、私はこのアルバムを最高傑作に推します。
アルバム名の「Close to the Edge」ですが、日本盤では「危機」という邦題が付けられています。
直訳すると「端っこに近い」つまり「ギリギリの状態」という意味。
ジョン・アンダーソンは当時、世界が間違えた方向に進んでいると思っていたようです。
当時彼らはリック・ウェイクマンを除く全員が菜食主義者となり、自然派志向を強めていました。
後には「クジラに愛を(Don’t Kill The Whale)」という曲が話題になったりもしました。
どうやら彼らは地球の危機が近いと思っていたようです。
ただこの曲はすばらしく17:16からの「I get up, I get down」というコーラスの箇所は、本当に感動的です。
6位「Siberian Khatru」(アルバム:Yessongs)
■曲名:Siberian Khatru
■曲名邦題:シベリアン・カートゥル
■アルバム名:Yessongs
■アルバム名邦題:イエスソングス
■動画リンク:「Siberian Khatru」
この作品はアナログ3枚組、CDでは2枚組のライブ・アルバムです。
収録曲は主に「The Yes Album」「The Yes Album」「Close to the Edge」の3枚から取り上げられています。
リックのソロ・アルバム「ヘンリー八世の六人の妻(The Six Wives of Henry VIII)」からの曲も聞き逃せません。
このライブ盤の1曲目は「オープニング ストラヴィンスキー作曲:組曲『火の鳥』より (Opening (Excerpt from ‘Firebird Suite)」で、この曲は2曲目です。
オープニングからのこの2曲の流れは、本当にすばらしいですね。
このオープニングの構成はローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)の「スティル・ライフ(Still Life)」を思い起こさせます。
演奏もライブならではのラフさが、良い方向に作用しています。
7位「The Gates of Delirium」(アルバム:Yesshows)
■曲名:The Gates of Delirium
■曲名邦題:錯乱の扉
■アルバム名:Yesshows
■アルバム名邦題:イエスショウズ
■動画リンク:「The Gates of Delirium」
「Close to the Edge」の後、黄金期のメンバー構成に変化が生じました。
次作「海洋地形学の物語(Tales from Topographic Oceans)」の前にビル・ブルーフォードが脱退し、代わりにアラン・ホワイト(Alan White)が加入しました。
またその次の「リレイヤー(Relayer)」の前に、リック・ウェイクマンが脱退しています。
「究極(Going for the One)」からは、リックの後任としてパトリック・モラーツ(Patrick Moraz)が加入しました。
クラシックの影響が強いリックとは、全く違うタイプのキーボード奏者です。
どう違うかは、この曲の8:53からをお聞きになってみてください。
リックとは違った飛び跳ねるような躍動感が特徴です。
ただリックがイエスのサウンド・ビジョンに相性が良いのに対して、パトリック・モラーツは異物感があります。
また楽曲よりも、演奏主体の傾向に拍車が掛かったようにも感じます。
それが残念な結果になった曲もありますが、この曲のように成功しているケースもあります。
ただこの曲は22:40と長いので、聞くのは後回しでいいかもしれません。
8位「Release, Release」(アルバム:Tormato)
■曲名:Release, Release
■曲名邦題:自由の解放
■アルバム名:Tormato
■アルバム名邦題:トーマト
■動画リンク:「Release, Release」
前作限りでバトリック・モラーツが脱退し、再度リック・ウェイクマンが再加入しました。
しかし昔のような音楽に戻ったわけではありませんでした。
この時期はパンク・ムーブメントの嵐が吹き荒れていて、プログレは化石のような音楽だと思われていました。
それを受けて彼らもポップな作風に変化しました。
彼らも生き残りに必死だったと思います。
この変化は多くの古参ファンを落胆させた一方で、歓迎する人もいました。
確かにこの曲はポップですが、、先鋭的な部分も合わせ持っています。
しかしこの変化は、バンド内に不協和音を生みました。
次のアルバム「ドラマ(Drama)」の前に、ジョン・アンダーソンが脱退しました。
ただ「Drama」も悪くない出来です。
そのアルバムから1曲ご紹介しておきましょう。
こちらも過渡期のイエスを代表する名曲です。
9位「Owner Of A Lonely Heart」(アルバム:90125)
■曲名:Owner Of A Lonely Heart
■曲名邦題:ロンリー・ハート
■アルバム名:90125
■アルバム名邦題:ロンリー・ハート
■動画リンク:「Owner Of A Lonely Heart」
彼らは次第にポップになっていきました。
ポップ路線が更に進んだのが、このアルバムです。
このアルバムでは、売れることを計算したような曲が目立ちます。
ただ音楽の質は維持されており、この曲などは全キャリアを通じても屈指の出来かもしれません。
このアルバムはトレヴァー・ホーン(Trevor Horn)がプロデュースしています。
イントロの音の処理は、いかにもそれらしい感じがしますね。
またうれしいことに、このアルバムではジョン・アンダーソンが復帰しています。
しかし一方でスティーヴ・ハウがバンドを去り、代わりにトレヴァー・ラビン(Trevor Rabin)が加入しました。
トレヴァー・ラビンの加入によって、彼らの産業ロック化は一層拍車をかかりました。
ただこのアルバムは大ヒットし、当時のMTV全盛期において、旧時代の遺物のように思われていた彼らの存在感を示しました。
次作の「ビッグ・ジェネレイター(Big Generator)」では、更に産業ロック路線が進展しています。
10位「Open Your Eyes」(アルバム:Open Your Eyes)
■曲名:Open Your Eyes
■曲名邦題:オープン・ユア・アイズ
■アルバム名:Open Your Eyes
■アルバム名邦題:オープン・ユア・アイズ
■動画リンク:「Open Your Eyes」
彼らは「Big Generator」の後に分裂しました。
トレヴァー・ラビンの方向性に異を唱えたジョン・アンダーソンは、再度バンドを脱退しました。
ジョンはビル・ブルーフォード、スティーヴ・ハウ、リック・ウェイクマンとの新バンド、アンダースソン、ブルーフォード、ウェイクマン、ハウ(ABWH)を結成しました。
メンバー的には、こちらの方がイエスっぽいですね。
まるで南北朝時代を彷彿とさせる分裂です。
この分裂劇は訴訟など泥沼化しましたが、アルバム「結晶(Union)」では、再び2組のバンドが結集してアルバムを製作しました。
その後「キーズ・トゥ・アセンション(Keys to Ascension)」で演奏力の健在ぶりを示した後にリリースされたのが、このアルバム。
この頃には内紛劇の中心にいたトレヴァー・ラビンは、バンドを去っていました。
これほどファンを振り回すバンドもないかもしれませんね。
ただどの時期にも聞きごたえのある作品をつくり上げているのは、さすがとした言いようがありません。
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