今回はドアーズのランキングを作成しました。
このバンドは初期2作がロック名盤として知られています。
そこでこの記事では、なるべく特定のアルバムに偏らないよう選曲してみました。
特に最後の曲はもっと聞かれてもいい曲だと思います。
- 1 1位「Light My Fire」(アルバム:The Doors)
- 2 2位「Break On Through (To the Other Side)」(アルバム:The Doors)
- 3 3位「Riders on the Storm」(アルバム:L.A. Woman)
- 4 4位「Gloria (Live Version)」(アルバム:In Concert)
- 5 5位「People are Strange」(アルバム:Strange Days)
- 6 6位「Whisky bar(Alabama Song)」(アルバム:The Doors)
- 7 7位「Love Street」(アルバム:Waiting for the Sun)
- 8 8位「Touch Me」(アルバム:The Soft Parade)
- 9 9位「Queen of the Highway(Alternate Take)」(アルバム:Essential Rarities)
- 10 10位「Ghost Song」(アルバム:An American Prayer)
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1位「Light My Fire」(アルバム:The Doors)

■曲名:Light My Fire
■曲名邦題:ハートに火をつけて
■アルバム名:The Doors(1967年)
■アルバム名邦題:ハートに火をつけて
■動画リンク:「Light My Fire」
シングルチャートで1位を記録した彼らの代表曲です。
この曲については、当時ある自動車会社からキャンペーンに使いたいというオファーがあったそうです。
ジム・モリソン(Jim Morrison)を除くメンバーは、その巨額のオファーを受けたいと希望しました。
しかし長期休暇中のジムに連絡がつきません。
契約の署名期限が差し迫っていたため、やむを得ずジムの代理人に相談し、残り3名は契約に署名しました。
それからジムに伝えたところ、彼は悪魔に魂を売ったのかと猛烈に怒り狂ったそうです。
その後ジムの執拗な抵抗によって、その広告が表に出ることはありませんでした。
それ以来ジムと他の3人との間には、深刻な亀裂ができてしまいました。
この件をきっかけとしてジムと他の3人は、以前のような仲間ではなく、単なるビジネスパートナーになったそうです。
2位「Break On Through (To the Other Side)」(アルバム:The Doors)

■曲名:Break On Through (To the Other Side)
■曲名邦題:ブレイク・オン・スルー
■アルバム名:The Doors(1967年)
■アルバム名邦題:ハートに火をつけて
■動画リンク:「Break On Through (To the Other Side)」
彼らのデビュー・シングルです。
この曲は当時アメリカのシングル・チャートで126位と、意外にもヒットしていません。
曲名は「向こう側に突き抜けろ」という意味。
ちなみにドアーズというバンド名は、ウィリアム・ブレイク(William Blake)の「知覚の扉(The doors of perception)」の詩の一節から取られています。
その一節の訳を引用しておきましょう。
「もし知覚の扉が浄化されるならば、全ての物は人間にとってありのままに現れ、無限に見える」
彼らはドラッグ体験を足がかりにして、感覚を拡張しようとしていました。
私はドラッグ体験をロマンティックに表現したり、哲学的な意味を付与することに興味はありません。
ただこの曲はとてもすばらしいと思います。
3位「Riders on the Storm」(アルバム:L.A. Woman)

■曲名:Riders on the Storm
■曲名邦題:ライダーズ・オン・ザ・ストーム
■アルバム名:L.A. Woman(1971年)
■アルバム名邦題:L.A.ウーマン
■動画リンク:「Riders on the Storm」
ジム・モリソン在籍時最後のアルバムです。
ジムはパリ滞在中に心臓発作で亡くなりましたが、死因はオーバードーズだと言われています。
この頃の彼は体重が増加し、デビュー時の面影はありませんでした。
晩年の彼の写真を見ると随分年老いた印象を受けますが、実はまだ27歳にすぎませんでした。
27歳で亡くなったアーティストは他に、ブライアン・ジョーンズ(Brian Jones)、ジャニス・ジョプリン(Janis Joplin)、ジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)などがいます。
ジムも有名な「27クラブ」に加わることになりました。
ちなみにジムは死の前年のライブで下半身を露出し、公然わいせつ罪の有罪判決を受けています。
彼は典型的な破滅型のアーティストだったかもしれません。
しかし彼のボーカルは、最後まで輝きを失いませんでした。
この曲でも彼は、以前と変わらない陰影に富んだ深みのある歌を聞かせてくれます。
この曲の歌詞は少し予言めいているかもしれません。
歌詞では長い休暇を取った男性が嵐の中、オートバイで出発する様子が描かれています。
4位「Gloria (Live Version)」(アルバム:In Concert)

■曲名:Gloria (Live Version)
■曲名邦題:グロリア(ライブ・バージョン)
■アルバム名:In Concert(1991年)
■動画リンク:「Gloria (Live Version)」
この曲はゼム(Them)の有名曲のカバーです。
ゼムはブルースやR&Bの影響が強く、当時彼らが参考にしたバンドだと思われます。
ゼムにはヴァン・モリソン(Van Morrison)という卓越したシンガーが在籍していましたが、その点ではドアーズも遜色ありません。
デビュー前のドアーズはブルース色の強いバンドでした。
「London Fog 1966」というデビュー前のライブ・アルバムを聞くと、ブルース色が強いことに驚きます。
ちなみに上記ライブ盤では、後にセカンド・アルバムで収録された「ストレンジ・デイズ(Strange Days)」の原型を聞くことができます。
その後彼らは独自の個性を確立していきました。
デビュー・アルバムではウィリー・ディクスン(Willie Dixon)の「バック・ドア・マン(Back Door Man)」をカバーしていますが、それほどブルース色は強くありません。
5位「People are Strange」(アルバム:Strange Days)

■曲名:People are Strange
■曲名邦題:まぼろしの世界
■アルバム名:Strange Days(1967年)
■アルバム名邦題:まぼろしの世界
■動画リンク:「People are Strange」
このセカンド・アルバムは、ファーストの「The Doors」と並ぶ最高傑作です。
しかし突出した曲は多くありません。
アルバム全体では傑作といえる出来ですが、個々の曲のインパクトはファーストの方が上かもしれません。
ただこちらにはアルバム・トータルの魅力があって、現実世界を外側から眺めているような世界観も興味深いです。
その意味で「まぼろしの世界」と名付けた邦題は、なかなかのセンスではないでしょうか。
この曲の歌詞には有名な一節があります。
君が部外者である時、君の眼からは他の人が奇妙に見える
この歌詞はジムが書いたと言われています。
彼は両親と一切の関係を断ったり奇行が目立つ、いわゆるアウトサイダーといえる人です。
冒頭に書いた事件によって、彼はバンド内でも孤立していました。
しかし一方で彼は哲学書や詩集を熱心に読みふけっていました。
ジムの目には彼を奇異な目で見る周囲の方が、奇妙に感じられたかもしれません。
6位「Whisky bar(Alabama Song)」(アルバム:The Doors)

■曲名:Whisky bar(Alabama Song)
■曲名邦題:アラバマ・ソング
■アルバム名:The Doors(1967年)
■アルバム名邦題:ハートに火をつけて
■動画リンク:「Whisky bar(Alabama Song)」
このバンドの演劇的要素は、ジム・モリソンが持ち込んだようです。
「ジ・エンド(The End)」という曲では、エディプス王の神話を題材に、父殺しと近親相関を匂わせる歌詞を書いています。
一方この曲は元々ベルトルト・ブレヒトとクルト・ヴァイルによって書かれたオペラの曲。
こうした大道芸っぽいフェリーニ的世界は、次作の「Strange Days」で更に掘り下げられました。
以下に歌詞を要約いたします。
俺たちは古き良き母を失った
だからウィスキーを飲まなくてはいけない
このデビュー・アルバムがリリースされた時、ジムは両親と絶縁していました。
彼の両親は「ハートに火をつけて」がヒットして初めて、その曲を歌っているのが自分たちの息子だと知ったそうです。
母親はレコード会社に息子に合わせてほしいと懇願したそうですが、ジムは頑として会おうとしませんでした。
ジムはレコード会社に親はいないと申告していたようです。
そうしてついにジムは、両親と再会することなく短い生涯を終えています。
7位「Love Street」(アルバム:Waiting for the Sun)

■曲名:Love Street
■曲名邦題:ラヴ・ストリート
■アルバム名:Waiting for the Sun(1968年)
■アルバム名邦題:太陽を待ちながら
■動画リンク:「Love Street」
彼らは1967年にアルバムを2枚リリースしました。
彼らは下積みの中で多くの曲を書き、アレンジも練り込んでいったようです。
しかしそのストックがなくなったこのアルバムで、彼らは地力を問われることになりました。
このアルバムは勝負の3枚目です。
結果「ハロー・アイ・ラヴ・ユー(Hello, I Love You)」のヒットもあって、初めてアルバム・チャートの1位を獲得できました。
ただ私は「Love Street」の方が好みですが。
哲学的でアングラっぽいテーマの曲が多い中で、この曲は珍しく普通のラブソングです。
当時ジムが交際していたパメラ・カーソン(Pamela Curson)のことを歌った曲だと言われています。
2人の写真をご紹介しておきましょう。
8位「Touch Me」(アルバム:The Soft Parade)

■曲名:Touch Me
■曲名邦題:タッチ・ミー
■アルバム名:The Soft Parade(1969年)
■アルバム名邦題:ソフト・パレード
■動画リンク:「Touch Me」
「太陽を待ちながら(Waiting for the Sun)」「ソフト・パレード(The Soft Parade)」「モリソン・ホテル(Morrison Hotel)」の3作は、一般にはそれほど評価されていません。
正直私もあまり出来が良いとは思いません。
上記のどれかがドアーズの最高傑作と言う人がいますが、私はいつも本当だろうかと思ってしまいます。
今回改めて聞きなおしましたが、私の評価は変わりませんでした。
ただこれからも時々聞きなおしていくつもりです。
その時期バンドを支えていたのは、キャッチーな曲を書くロビー・クリーガー(Robby Krieger)。
ロビーは「Light My Fire」「Hello, I Love You」、そしてこの曲を書いています。
つまりこのバンドの3大ヒット曲は、すべてロビーが書いた曲なのですね。
9位「Queen of the Highway(Alternate Take)」(アルバム:Essential Rarities)

■曲名:Queen of the Highway(Alternate Take)
■曲名邦題:ハイウェイの女王(別テイク)
■アルバム名:Essential Rarities(2000年)
■動画リンク:「Queen of the Highway(Alternate Take)」
オリジナル・アルバム未収録曲を集めたレア・トラック集からの曲です。
この曲の完成バージョンは「Morrison Hotel」に収録されていますが、私はこの別バージョンの方が好きです。
ジムについては激しくシャウトしているイメージがあるかもしれませんが、そういう曲ばかりではありません。
ちなみに普段の彼はロックではなく、ペギー・リー(Peggy Lee)やフランク・シナトラ(Frank Sinatra)などを好んで聞いていたそうです。
フランク・シナトラはクルーナー唱法という抑えた小粋な歌い方が特徴の人で、ボサノヴァにも多大な影響を与えました。
確かに事務の歌い方は、シナトラの影響を感じます。
10位「Ghost Song」(アルバム:An American Prayer)

■曲名:Ghost Song
■曲名邦題:亡霊の歌
■アルバム名:An American Prayer(1978年)
■アルバム名邦題:アメリカン・プレイヤー
■動画リンク:「Ghost Song」
この曲は、ジムの死から7年が経過した1978年に発表されました。
このアルバムはジムの詩の朗読に、残りのメンバーによる演奏をかぶせた作品です。
ドアーズはジムの死後も「アザー・ヴォイセズ(Other Voices)」「フル・サークル(Full Circle)」という2枚のアルバムを発表しました。
それらの出来は決して悪くありません。
特に「Other Voices」の楽曲や演奏は「L.A. Woman」の続編といった感じの佳作です。
しかしセールス的に振るわず、一旦バンドは解散することになりました。
その後再度集まってジムの詩に演奏を付けたのがこのアルバムです。
この曲で印象的なのは、レイ・マンザレク(Ray Manzarek)のエレクトリック・ピアノ。
彼はデビュー当時「ハートに火をつけて」を筆頭に、ハモンド・オルガンにより演奏面の主導権を握っていました。
しかしその後「Riders on the Storm」などで、エレクトリック・ピアノを使った演奏が目立ち始めました。
ここでも曲の印象を決定付けているのは、レイのエレピです。
ドアーズというバンドは、ジムの歌とカリスマ性、ロビーの作曲、レイの演奏がそろって初めて成立したバンドだと思います。
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