今回はグレゴリー・アイザックスのランキングを作成しました。
この人はジャマイカ音楽の歴史に太字で刻まれる偉大な歌手です。
このランキングでは、1970年代から1980年代初頭までを対象に選曲しました。
リラックスしたい時におすすめしたい曲ばかりです。
- 1 1位「Sacrifice」(アルバム:Mr Isaacs)
- 2 2位「Double Attack」(アルバム:The Best Of Vol. 1)
- 3 3位「Hold Me Tight」(アルバム:All I Have Is Love)
- 4 4位「Uncle Joe」(アルバム:Cool Ruler)
- 5 5位「Special Guest」(アルバム:The Best Of Vol. 1)
- 6 6位「Poor and Clean」(アルバム:Lonely Lover)
- 7 7位「Night Nurse」(アルバム:Live at Brixton)
- 8 8位「Tumbling Tears」(アルバム:My Number One)
- 9 9位「Border」(アルバム:The Best Of Vol. 2)
- 10 10位「Cool Down the Pace」(アルバム:Night Nurse)
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1位「Sacrifice」(アルバム:Mr Isaacs)
■曲名:Sacrifice
■アルバム名:Mr Isaacs
■アルバム名邦題:ミスター・アイザックス
■動画リンク:「Sacrifice」
グレゴリーの歌の特徴は、ゆったりリズムに乗って歌うスタイル。
いつも余裕綽々ですが、それでも決してヌルいう多にはなりません。
その魅力を最も堪能できるのがこの曲です。
スカパラのような演奏をバックにした余裕のある歌唱は、本当にすばらしいですね。
曲名の「Sacrifice」は「犠牲」という意味で、以下のような歌詞です。
私は黒人の地獄と白人の天国を実現する犠牲として生まれてきた
しかし大切なのは愛だ
私は愛を与え、そして愛を受け取るつもりだ
シリアスなテーマの曲ですが、この歌唱ゆえか天国感が半端ありません。
2位「Double Attack」(アルバム:The Best Of Vol. 1)
■曲名:Double Attack
■アルバム名:The Best Of Vol. 1
■動画リンク:「Double Attack」
1970年代のレゲエのベスト・アルバムの中には、一般的な意味ではベスト盤といえないものがあります。
その時期に録音された曲をまとめただけの編集盤が多いのですが、このアルバムもそうした1枚です。
そもそもこの作品は3枚目ですから、ベスト盤を出すには早すぎますし。
さてこの曲は、イントロのホーンからほんわかしたムードが漂っています。
一般的なレゲエのリズムは裏拍に特徴があって「ンチャ、ンチャ」みたいな感じ。
また本来リズムの中心はドラムですが、レゲエでは必ずしもドラムが裏拍を刻んでいるとは限りません。
この曲のドラムも割と自由に演奏している感じがしないでしょうか。
私はこの曲の硬質なドラムの音質が好みです。
3位「Hold Me Tight」(アルバム:All I Have Is Love)
■曲名:Hold Me Tight
■アルバム名:All I Have Is Love
■アルバム名邦題:オール・アイ・ハブ・イズ・ラヴ
■動画リンク:「Hold Me Tight」
この人の全盛期は、一般的に1980年前後だと言われています。
確かにその時期には、歌、曲づくりなどを含めて円熟した魅力が感じられます。
しかし私は初期が一番好きです。
時期的にいえば、このアルバムから1978年ぐらいまでを聞き返すことが多いです。
全盛期は完成度が高いものの、少しラヴァーズ・ロックに傾きすぎたような感じがしますし。
さてこのアルバムは、1976年トロージャン・レコーズ(Trojan Records)からリリースされています。
サウンド的には1970年代前半っぽいなと思っていたら、案の定CDの解説にその可能性があると書かれていました。
あと解説の鈴木孝弥氏によれば、この曲のピアノはグラッドストン・アンダースン(Gladstone Anderson)かもしれないそうです。
実は私にとってグラディは、ボブ・マーリー(Bob Marley)に匹敵するほど好きなアーティストです。
そのグラディ狂の私からすると、この曲のピアノはグラディで間違いないと断言できます。
グレゴリーには申し訳ありませんが、この曲に関してはグラディが主役といってもいいでしょう。
今回の趣旨から少し離れますが、ほんわかしたピアノをぜひご堪能ください。
4位「Uncle Joe」(アルバム:Cool Ruler)
■曲名:Uncle Joe
■曲名邦題:アンクル・ジョー
■アルバム名:Cool Ruler
■アルバム名邦題:クール・ルーラー
■動画リンク:「Uncle Joe」
アルバム名の「Cool Ruler」は、彼のニックネームとして知られています。
「Cool Ruler」とは「落ち着いて場を支配できる人」といった意味のようです。
私なりにいえば「静かなるドン」にちなんで、「穏やかなるドン」という感じでしょうか。
確かに彼はシャウトしたり派手な演出をせず、この曲の空気感を穏やかに決定づけている感じがします。
またこの曲については、アンセル・コリンズ(Ansell Collins)によるキーボードの演奏もすばらしいですね。
まずイントロはモンド/ラウンジっぽい演奏から始まり、時々HOPHOPのスクラッチを思わせるフレーズを差し込んでいます。
試しに2:42あたりからお聞きください。
キーボードとギターが、浮遊感漂う音響空間をつくり出しています。
5位「Special Guest」(アルバム:The Best Of Vol. 1)
■曲名:Special Guest
■アルバム名:The Best Of Vol. 1
■動画リンク:「Special Guest」
私はこのアルバムが最高傑作だと思っています。
私が持っているHeartbeat(ハートビート)盤は「The Best Of Vol. 2」との2in1ですが、どちらもすばらしい出来で、通して聞くと至福の時間が味わえます。
この曲では「私を夜の特別ゲストにしてください」と歌われています。
きっとあなたには私が正しい星のように見えることでしょうと。
しかしグラディは生粋のルード・ボーイ、つまり不良です。
この人は音楽と私生活が一致しないどころか、正反対にさえ感じられます。
彼のジャンキーっぷりをお読みください。
長期にわたるコカイン依存によってアイザックスは何度か逮捕された上、歯はほとんど抜け落ちてしまい、キャリア後半は声質も変わってしまった[14]。
ジャンルは違いますが、ビル・エバンスも重度のジャンキーで、歯がボロボロだったと言われています。
そういう人はジャケットで歯を見せて笑いません。
彼は1982年に拳銃の不法所持で逮捕されて、半年の懲役刑に服していますが、その時の逮捕で27回目だったそうです。
荒んだ私生活を感じさせないのも、ある意味プロの証拠なのかもしれませんが。
6位「Poor and Clean」(アルバム:Lonely Lover)
■曲名:Poor and Clean
■アルバム名:Lonely Lover
■アルバム名邦題:ロンリー・ラヴァー
■動画リンク:「Poor and Clean」
アルバム名の「Lonely Lover」は、彼の愛称の1つだそうです。
おそらく女性ファンに向けられたニックネームではないでしょうか。
彼は本国ジャマイカで、女性ファンに人気があるそうです。
確かに彼の歌はとてもロマンティックですし、トレードマークのハットもチャーミングですから、分からないでもありません。
このアルバム・ジャケットのハットは派手すぎてエルトン・ジョン(Elton John)みたいですが。
さてこの曲はメッセージ・ソングです。
曲名通り、貧しくても清潔でいたいと歌われています。
最後の言葉などは「金持ちの天国は、貧乏人の地獄だ」ですし。
時に骨のある硬派なメッセージを訴えるのも、女性ファンを惹きつけた理由の1つかもしれません。
7位「Night Nurse」(アルバム:Live at Brixton)
■曲名:Night Nurse
■曲名邦題:ナイト・ナース
■アルバム名:Live at Brixton
■アルバム名邦題:ライヴ・アット・ブリクストン
■動画リンク:「Night Nurse」
この曲は、彼の最も有名な曲です。
オリジナルは「Night Nurse」という同名のアルバムに収録されています。
ただ原曲は私には少々甘すぎるので、こちらのライブ・バージョンでご紹介してみました。
イントロの段階で、既に観客の熱気がすごいですね。
この曲ではサビを観客に歌わせていますが、観客の声が結構な大音量です。
これは観客席にいたら、耳が痛くなるやつですね。
歓声からすると、女性の観客が多めな感じがします。
さて曲名の「Night Nurse」とは「夜勤の看護婦」という意味ですが、意味深な言葉かもしれません。
歌詞を読むと「僕を治せるのは医者ではなく夜勤の看護婦だけだ」とか「24時間看護してほしい」とか。
病院を一体何だと思っているのでしょうか(笑)
それはさておき、このアルバムは現在入手がとても困難です。
すばらしいアルバムなので、再発を希望します。
8位「Tumbling Tears」(アルバム:My Number One)
■曲名:Tumbling Tears
■アルバム名:My Number One
■アルバム名邦題:マイ・ナンバー・ワン
■動画リンク:「Tumbling Tears」
私はこのアルバムの編集意図がよく分かりません。
様々な時期の曲がかき集められていますが、ベスト盤的な選曲でもありませんし。
1970年代の曲も入っていますが、このアルバムは1990年にリリースされています。
ヒット曲も含めた編集盤という感じでしょうか。
他のアルバムと重複している曲も多いのですが、このアルバムは買うしかありません。
このアルバムの価値は、後半のDJが入ったトラックにあります。
たとえばこの曲もその1つ。
3:16からのRanking Barnabasによるトースティングも見事です。
トースティングとはHIPHOPのラップみたいなものですが、この曲での彼はとても大きな貢献をしています。
9位「Border」(アルバム:The Best Of Vol. 2)
■曲名:Border
■曲名邦題:ボーダー
■アルバム名:The Best Of Vol. 2
■動画リンク:「Border」
異色な曲が続きましたので、ゆったりした路線に戻しましょう。
この人はキャリアが長くアルバム枚数も多いので、選外になった曲にも良い曲が沢山あります。
有名曲「ミスター・コップ(Mr. Cop)」「ミスター・ブラウン(Mr. Brown)」なども選外となりました。
また「スーン・フォワード(Soon Forward)」「モア・グレゴリー(More Gregory)」という2枚は、彼の作品でも屈指の名盤ですが、この記事では取り上げていません。
しかしどちらも買って損はないアルバムです。
さてこのアルバムは、先程の「The Best Of Vol. 1」の続編です。
1981年にリリースされていますが、おそらく前作と同時期の録音ではないでしょうか。
このアルバムは、プロデューサーのアルヴィン・ラングリン(Alvin Ranglin)が、とてもすばらしい仕事をしています。
古き良きレゲエの香りを残したアレンジがすばらしいです。
10位「Cool Down the Pace」(アルバム:Night Nurse)
■曲名:Cool Down the Pace
■曲名邦題:クール・ダウン・ザ・ペース
■アルバム名:Night Nurse
■アルバム名邦題:ナイト・ナース
■動画リンク:「Cool Down the Pace」
今回はデビューから1982年の「Night Nurse」までを対象にしました。
彼は1982年に服役して、その後復帰作「Out Deh!」をリリースしています。
ただその頃から私は聞く機会が減りました。
リリースのペースが速すぎて、追いかけられなくなったこともありますが。
なにせ1991年だけでも5枚、1992年に4枚というリリース・ペースです。
この曲ではペースを落としてクールダウンしようと歌われていますが、逆に彼はペースを上げたようですね。
ただ彼は後年まで、人気を維持することができました。
晩年の彼は肺がんを患い、2010年10月25日に息を引き取りました。
死の前年にも彼のアルバムはグラミー賞にノミネートされています。
もし今回のランキングが気に入ったら、彼の作品を追いかけてみてはいかがでしょうか。
現時点で72枚もありますが(笑)
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