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マディ・ウォーターズ(Muddy Waters)の名曲名盤10選【代表曲・隠れた名曲】

今回はマディ・ウォーターズのランキングを作成しました。

ブルースは、年季の入ったファンが多いジャンルです。

もちろんそういう方にも読んでもらえたら、とてもうれしいです。

ただこの記事は、主にブルース初心者を想定して選曲しました。

普段ブルースを聞かない方は、ぜひ聞いてみてください。

1位「Mannish Boy」(アルバム:Hard Again)

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■曲名:Mannish Boy
■曲名邦題:マニッシュ・ボーイ
■アルバム名:Hard Again(1977年)
■アルバム名邦題:ハード・アゲイン
■動画リンク:「Mannish Boy」

マディ・ウォーターズの代表曲は沢山あります。

その中でどの曲を1位にするかしばらく考えた末、この曲に決めました。

まずこの曲はローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)がカバーしています。

更にはザ・バンド(The Band)の解散コンサート「ラスト・ワルツ(The Last Waltz)」に参加したマディは、この曲を演奏しています。

またサイケデリック・ブルースのバンドにマディがボーカルで参加した「エレクトリック・マッド(Electric Mud)」でも、この曲が収録されています。

確かにロック・リスナーにアピールしやすい曲かもしれません。

多くのバージョンの中で、決定版といえるのがこれです。

しかし威風堂々とした男っぷりに、しびれますね。

バックで叫んでいる声は、リスナーの興奮を代弁しているかのようです。

これはロックではないかと思う人もいるかもしれません。

しかしこれこそがブルースだと言わせていただきましょう

 

2位「I Just Want to Make Love to You」(アルバム:The Best of Muddy Waters)

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■曲名:I Just Want to Make Love to You
■曲名邦題:アイ・ジャスト・ウォント・トゥ・メイク・ラヴ・トゥ・ユー
■アルバム名:The Best of Muddy Waters(1958年)
■アルバム名邦題:ベスト・オブ・マディ・ウォーターズ
■動画リンク:「I Just Want to Make Love to You」

このアルバムはブルースの金字塔です。

史上最高のブルースの人気投票をしたら、1位の可能性が極めて高いアルバムです。

このアルバムの場合、どの曲を選ぶかは重要ではありません。

全曲がこの水準ですから。

このアルバムには、ある有名曲が収録されています。

Muddy Waters – Rollin’ Stone

ローリング・ストーンズのバンド名の由来になった曲です。

さてこのアルバムの前では、言葉は無粋かもしれません。

異様で即物的な凄みを、じっくり味わっていただければと思います。

 

3位「Sad Letter」(アルバム:More Real Folk Blues)

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■曲名:Sad Letter
■曲名邦題:サッド・レター・ブルース
■アルバム名:More Real Folk Blues(1967年)
■アルバム名邦題:モア・リアル・フォーク・ブルース
■動画リンク:「Sad Letter」

マディの最高傑作は「The Best of Muddy Waters」だと言われています。

しかし私は「Real Folk Blues」とこの「More Real Folk Blues」を合わせて、三部作の内の1枚と考えています。

収録されている曲の時期をまとめてみましょう。

「The Best of Muddy Waters」:1948年から1954年
「Real Folk Blues」:1947年から1964年
「More Real Folk Blues」:1948年から1952年

多少ばらつきがありますが、この時期が彼の全盛期といってもいいかもしれません。

この曲が録音された1950年は、彼が本格的に始動した年です。

この曲は「Sad Letter Blues」と呼ばれることもありますが、同じ曲を指しています。

この時期の曲はどれも聞き逃せません。

 

4位「Got My Mojo Working」(アルバム:At Newport 1960)

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■曲名:Got My Mojo Working
■曲名邦題:ガット・マイ・モジョ・ワーキング
■アルバム名:At Newport 1960(1960年)
■アルバム名邦題:マディ・ウォーターズ・アット・ニューポート
■動画リンク:「Got My Mojo Working」

このアルバムは・ライブ・アルバムです。

この曲は、ライブのクライマックスで演奏されます。

中でも最も有名なのは、このバージョンかもしれません。

私はこのアルバム以前に「Trouble No More: Singles 1955–1959」というアルバムで、この曲を知っていました。

そのアルバムは、私が初めての海外旅行で買ったCDです。

私は良い身なりをしていると強盗の心配があるそうなので、みすぼらしい服を来て観光していました。

私は初めての海外旅行にも関わらず、レコード・ショップを回っていました。

その内の1軒で「Trouble No More: Singles 1955–1959」を買いました。

レジで支払いの時に、店主がジロジロと私の顔をのぞき込んできたことを覚えています。

日本ではこんな露骨に見られることはないので、軽いカルチャーショックを受けました。

まあ今にして思えば若いパンク風の男が、不似合いなブルースのCDを買ったので、不思議に思われただけだと思いますが。

曲の解説から離れてしまいましたが、ふとそんなことを思い出しました。

 

5位「Rollin’ and Tumblin’」(アルバム:Real Folk Blues)

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■曲名:Rollin’ and Tumblin’
■曲名邦題:ローリン・アンド・タンブリン
■アルバム名:Real Folk Blues(1966年)
■アルバム名邦題:リアル・フォーク・ブルース
■動画リンク:「Rollin’ and Tumblin’」

この曲が収録されているのは「Real Folk Blues」というアルバムです。

「Folk」とあっても、ギターはアコースティックではありません。

「民衆」とか「伝承」などの「Folk」だと思われます。

マディの出身地は、ミシシッピー州です。

同州にはミシシッピ・ジョン・ハート(Mississippi John Hurt)やスキップ・ジェイムス(Skip James)など、アコースティック・ブルースの系譜がありました。

しかしマディはそちらではなく、デルタ・ブルースの系譜です。

デルタ・ブルースについては、また後で触れる予定です。

この曲にはエレクトリック・ギターならではの肌ざわりがいい感じですね。

それはロックっぽいと言い換えてもいいかもしれません。

ジェフ・ベック(Jeff Beck)などは、こういうギターが好きだったかもしれません。

 

6位「Caledonia」(アルバム:The Muddy Waters Woodstock Album)

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■曲名:Caledonia
■曲名邦題:カレドニア
■アルバム名:The Muddy Waters Woodstock Album(1975年)
■アルバム名邦題:ウッドストック・アルバム
■動画リンク:「Caledonia」

当時はウッドストック・サウンドが人気でした。

ウッドストック系のアーティストにとって、マディは偉大な先人でした。

このアルバムは当時の新進気鋭のアーティストが、マディと共演したアルバムです。

このアルバムにはボビー・チャールズ(Bobby Charles)が書いた曲が収録されていますし、演奏にはザ・バンドのメンバーが参加しています。

この曲のオリジナルは、ルイ・ジョーダン(Louis Jordan)。

このカバー曲は、とても楽しい仕上がりです。

特にハープのポール・バターフィールド(Paul Butterfield)と、アコーディオンのガース・ハドソン(Garth Hudson)は、めちゃくちゃ楽しそうです。

このアルバムはブルースらしくないと敬遠する人がいるようですが、私は純粋に音楽としてすばらしいと思っています。

少なくとも私は「エレクトリック・マッド」より、はるかに評価しています。

 

7位「I Can’t Be Satisfied」(アルバム:Hard Again)

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■曲名:I Can’t Be Satisfied
■曲名邦題:アイ・キャント・ビー・サティスファイド
■アルバム名:Hard Again(1977年)
■アルバム名邦題:ハード・アゲイン
■動画リンク:「I Can’t Be Satisfied」

私は中学生ぐらいの時からブルースを聞いていました。

昔はブルースを理解していなければ、ロック・ファンとはいえない風潮があったかもしれません。

そこで私も精一杯背伸びして、ブルースを聞いていました。

その後ある程度ブルースの名盤を聞いたところで、数年に渡る第一次ブルース・ブームが終わりを告げました。

ただ当時はブルースを理解していたかどうか、我ながらあやしいものです。

その後第二次ブルース・ブームがありました。

そのきっかけになったのが、このアルバムです。

このアルバムはジョニー・ウインター(Johnny Winter)がプロデュースしたので買ったと思います。

中でも大のお気に入りが、1位にした「Mannish Boy」とこの曲。

一般的にはこの曲は「The Best of Muddy Waters」のバージョンの方が有名かもしれません。

そちらもリンクを貼っておきましょう。

Muddy Waters – I Can’t Be Satisfied

 

8位「Good Morning, Little School Girl」(アルバム:I’m Ready)

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■曲名:Good Morning, Little School Girl
■曲名邦題:グッド・モーニング・リトル・スクール・ガール
■アルバム名:I’m Ready(1978年)
■アルバム名邦題:アイム・レディ
■動画リンク:「Good Morning Little School Girl」

彼はシカゴ・ブルースの父と言われています。

先程私は彼がデルタ・ブルースの系譜だと書きました。

大雑把に言えば、シカゴ・ブルースはデルタ・ブルースにエレクトリック楽器を導入し、バンド編成にしたものです。

つまりアコースティックな弾き語りから、エレクトリックのバンド・サウンドになったもの。

一般的にはそう言われています。

ただ少し補足すると、シカゴ・ブルースはデルタ・ブルースより、音楽の幅が広がっています。

よりロックやR&Bと隣接した音楽になりました。

たとえばこの曲です。

私は「The Best of Muddy Waters」あたりの緊張感あふれる時期が、マディの全盛期だと思っています。

しかし後年彼は様々な音楽を飲み込んで、より奥行きのある音楽に変化しました。

どちらの時期も、やはりマディは最高です。

 

9位「Standing Around Crying」(アルバム:The Chess Box)

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■曲名:Standing Around Crying
■曲名邦題:スタンディング・アラウンド・クライング
■アルバム名:The Chess Box(1989年)
■アルバム名邦題:チェス・ボックス
■動画リンク:「Standing Around Crying」

初心者向けではないかもしれませんが、ねちっこいスロー・ブルースもご紹介しておきましょう

以下の曲と迷いましたが、よりねちっこい「Standing Around Crying」にしました。

Muddy Waters – Walkin’ Blues

「Standing Around Crying」は「The Best of Muddy Waters」の曲ですが、このボックス・セットにも入っています。

この頃の彼はシカゴ・ブルースというより、デルタ・ブルースに近いところがありました。

デルタ・ブルースは、他のブルースと比べても特異な音楽です。

異端の香りがあって、ギターが別の意志を持った生き物みたいな。

まあ私のつたない説明より、この曲のイントロをお聞きください。

かなり中毒性が高く、酒を飲んでいないのに、酩酊した感じがしてしまいます。

しかしブルースという音楽は、お酒が合いますね。

 

10位「Got My Mojo Working Part 2」(アルバム:Fathers And Sons)

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■曲名:Got My Mojo Working Part 2
■曲名邦題:ガット・マイ・モジョ・ワーキング(パート2)
■アルバム名:Fathers And Sons(1969年)
■アルバム名邦題:ファーザーズ・アンド・サンズ
■動画リンク:「Got My Mojo Working Part 2」

マディの人生の後半は、彼を慕うアーティストとの共演が多くなりました。

このアルバムも「Fathers And Sons」というアルバム名からもうかがえるように、その中の1枚です。

当時の彼はこんなことを言っていました。

「チェス・レコードはいつもブルースじゃないプレイヤーと俺を組ませる。でも俺のサウンドを変えることは、俺という一人の男を変えることになる」

マディ・ウォーターズ『Fathers And Sons』:マディにとってメインストリームで最も成功した作品

子供の頃泥だらけで遊んでいたことから、マディ・ウォーターズと呼ばれるようになったそうです。

彼は名前の通り、ブルースの濁りを体現する男になりました。

とかくブルースは「シブい」で片づけられがちかもしれません。

しかしブルースにも様々なものがあります。

私はもしマディの音楽について聞かれたら、豪気で男くさい音楽だと答えることでしょう。

その一例としてこの曲をお聞きください。

私は彼の音楽に、一本背負いにこだわる柔道家のような不器用さを感じます

しかしただ不器用なだけではありません。

現にこの曲でマディの熱にあてられた観客の大歓声がすごいですよね。

彼はそうと決めたら一本道、豪快に疾走しています。

 

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