今回はケニー・バレルのランキングを作成しました。
この人はジャズ・ギタリストですが、比較的地味な演奏が多いかもしれません。
ただその味わいは格別です。
今回は地味になり過ぎないよう意識して選曲してみました。
ブルージーなジャズギターをご堪能ください。
- 1 1位「Midnight Blue」(アルバム:Midnight Blue)
- 2 2位「Greensleeves」(アルバム:Guitar Forms)
- 3 3位「Kenny’s Sound」(アルバム:Blue Bash!)
- 4 4位「Perception」(アルバム:Kenny Burrell)
- 5 5位「I’ll Close My Eyes」(アルバム:Two Guitars)
- 6 6位「Will You Still Be Mine」(アルバム:A Night at the Vanguard)
- 7 7位「Delilah」(アルバム:Introducing Kenny Burrell)
- 8 8位「As Long as I Live」(アルバム:A Generation Ago Today)
- 9 9位「The Breeze and I」(アルバム:Crash!I)
- 10 10位「Make Someone Happy」(アルバム:’Round Midnight)
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1位「Midnight Blue」(アルバム:Midnight Blue)
■曲名:Midnight Blue
■曲名邦題:ミッドナイト・ブルー
■アルバム名:Midnight Blue
■アルバム名邦題:ミッドナイト・ブルー
■動画リンク:「Midnight Blue」
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この人の決定的な名演は何かと聞かれたら、どれほどの人が即答できるでしょうか。
私はそれほど多くないように思います。
演奏が高水準で安定していることもあって、抜きん出た曲を探すのが難しいせいもあるかもしれません。
私はこの曲を1位にしました。
ただこの曲単体でもすばらしいですが、アルバム単位の勝利かもしれません。
最高傑作と言われることも多く、この曲と同レベルの曲ばかりです。
このアルバムではテナー・サックスのスタンリー・タレンタイン(StanleyTurrentine)が大活躍していますが、この曲には入っていません。
またこのアルバムは、ジャケットにもご注目ください。
大胆な構図と過不足なく情報を配置する機能性。
バレルの核心である「blue」の強調。
写真をあえて小さくしたことで、逆に目立たせていること。
ブルーノートのデザイナー、リード・マイルズの最高傑作の1つだと思います。
2位「Greensleeves」(アルバム:Guitar Forms)
■曲名:Greensleeves
■曲名邦題:グリーンスリーブス
■アルバム名:Guitar Forms
■アルバム名邦題:ケニー・バレルの全貌
■動画リンク:「Greensleeves」
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グリーンスリーブスといえば、音楽の時間で聞いたことがあるかもしれません。
私もそのぐらいの知識なので、改めてどういう曲か調べてみました。
どうやらイギリスの民謡のようで、作者不詳となっています。
曲名の「Greensleeves」とは「緑の袖」のことですが、諸説はあるものの何を意味する言葉かは特定できていません。
よく知られている曲にもかかわらず、分からないことだらけなのですね。
さてこの曲では、音の魔術師ギル・エヴァンス(Gil Evans)が編曲を手掛けています。
しいてバレルの欠点を探すと、演奏にダイナミズムが欠けていることかもしれません。
まあ元々そこで勝負しているプレイヤーではありませんが。
しかしこの曲でギルは起伏に富んだアレンジを提供して、譜面の上でバレルを躍動させています。
3位「Kenny’s Sound」(アルバム:Blue Bash!)
■曲名:Kenny’s Sound
■曲名邦題:ケニーズ・サウンド
■アルバム名:Blue Bash!
■アルバム名邦題:ブルー・バッシュ!
■動画リンク:「Kenny’s Sound」
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バレルはオルガン奏者と共演することが多い人だと思います。
しかもすばらしい作品が多く、オルガンとの相性も良いようですね。
このアルバムではオルガニストの頂点ともいえる、ジミー・スミス(Jimmy Smith)と共演しています。
ジミー・スミスといえば、弾きまくりの奔放なプレイを特徴とする人です。
一方バレルは本来そういうタイプではありません。
しかしジミースミスに触発されたのか、この曲ではテンション高めの演奏をしています。
まずは出だしからして好調。
バレルのギターソロは1:37からですが、緊張感あふれるすばらしい演奏を披露しています。
4位「Perception」(アルバム:Kenny Burrell)
■曲名:Perception
■曲名邦題:パーセプション
■アルバム名:Kenny Burrell
■アルバム名邦題:ブルー・ムーズ
■動画リンク:「Perception」
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彼は1956年にデビューしていますが、このアルバムは翌年1957年にリリースされています。
初期の録音といえるでしょう。
ジャズの場合はロックと違って、必ずしも自作曲を中心にする必要がありません。
そのためロックなどでは考えられないようなハイペースで、アルバムを発表することができます。
ディスコグラフィーで数えたところ、バレルは1957年だけで8枚ものアルバムをリリースしています。
才能があると認められれば、様々なレーベルから声がかかりますしね。
ただ初期には、そのプレイヤーの可能性が必ずしも判明しているわけではありません。
自分の適性を模索する時期でしょうね。
数多くのレコーディングをこなす中で、自然と適性や得意不得意が見えてくるものです。
バレルについては、比較的サックスなどのホーン奏者との録音が多いギタリストかもしれません。
さてこの曲の冒頭をお聞きください。
セシル・ペイン(Cecil Payne)のバリントン・サックスに対して、バレルはいい具合に絡んでいますね。
自分のソロばかりに意識が集中してしまうプレイヤーもいますが、バレルは多くのプレイヤーの中でも持ち味を発揮できるタイプのようです。
しかも演奏の水準が安定しています。
きっと現場で重宝されるプレイヤーだったのではないでしょうか。
5位「I’ll Close My Eyes」(アルバム:Two Guitars)
■曲名:I’ll Close My Eyes
■曲名邦題:アイル・クローズ・マイ・アイズ
■アルバム名:Two Guitars
■アルバム名邦題:2ギターズ
■動画リンク:「I’ll Close My Eyes」
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私はこの曲自体に惚れ込んでいます。
バレルには申し訳ありませんが、この曲といえばブルー・ミッチェル(Blue Mitchell)です。
ブルー・ミッチェルの方は、これまで何度聞いたことか。
ジャズファンなら思い当たるかもしれませんが、自分が好きな曲はこういう風に演奏してほしいと、注文を付けたくならないでしょうか。
私はこの曲の解釈に安堵しました。
ちなみにこのアルバムはジミーレイニー(Jimmy Raney)との共同名義ですが、この曲ではギターはバレルのみです。
この曲については、共演者の演奏にもご注目ください。
まず2:25からマル・ウォルドロン(Mal Waldron)のピアノソロは、明快なタッチがすばらしい演奏ではないでしょうか。
また粘り気を帯びたダグ・ワトキンス(Doug Watkins)のベースも秀逸です。
6位「Will You Still Be Mine」(アルバム:A Night at the Vanguard)
■曲名:Will You Still Be Mine
■曲名邦題:ウィル・ユー・スティル・ビー・マイン?
■アルバム名:A Night at the Vanguard
■アルバム名邦題:ヴィレッジ・ヴァンガードの夜
■動画リンク:「Will You Still Be Mine」
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ケニー・バレルは、ミディアムテンポのブルース曲が多いように思います。
ただ今回改めて聞きなおしてみて、意外とアップテンポの曲にも良い演奏があるように感じました。
中でもこの曲はその代表格だと思います。
テンポの速い曲でも彼の持ち味は失われていません。
バレルのギターが疾走していますが、速い曲でも音の選択肢が狭まっている様子はありません。
逆にアイデアやひらめきが感じられます。
それはドラムの影響もあるかもしれません。
ドラムは、私の大好きなロイ・ヘインズ(Roy Haynes)。
共演者のポテンシャルを引き出すことができる、最高のジャズドラマーの1人です。
7位「Delilah」(アルバム:Introducing Kenny Burrell)
■曲名:Delilah
■曲名邦題:デライラ
■アルバム名:Introducing Kenny Burrell
■アルバム名邦題:イントロデューシング・ケニー・バレル
■動画リンク:「Delilah」
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デビューアルバムからの選曲です。
バレルはブルーノートの創始者、アルフレッド・ライオン(Alfred Lion)に見い出されてデビューしています。
しかしその前にはディジー・ガレスピー楽団に所属していました。
当時のディジー・ガレスピー(Dizzy Gillespie)は、アフロ・キューバン・ジャズなどの先進的な取り組みをしていました。
このアルバムには、コンガが入っていますね。
当時としては珍しい編成でしたが、これまでのそうした経験が影響しているのかもしれません。
さて私はこの人について、普通のハードバップ・ジャズとは少し違ったところがあるように感じます。
ブルース・プレイヤーが、たまたまジャズを演奏しているような。
ただ彼のプレイスタイルは思いの外柔軟で、ジャズにもラテンにも頓着しないところがあります。
この曲もジャズ、ブルース、ラテンがミックスされた、とても興味深い演奏です。
8位「As Long as I Live」(アルバム:A Generation Ago Today)
■曲名:As Long as I Live
■曲名邦題:アズ・ロング・アズ・アイ・リブ
■アルバム名:A Generation Ago Today
■アルバム名邦題:ア・ジェネレーション・アゴー・トゥデイ
■動画リンク:「As Long as I Live」
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この曲では珍しくボサノヴァの曲をやっています。
実はバレルは、以前にもボサノヴァに挑戦していました。
そちらもご紹介しておきましょう。
Kenny Burrell with Gil Evans Orchestra – Moon and Sand
さて彼はブルース色が強いと言われますが、一方で都会的だと評されることがあります。
ブルースだけど洗練されているとはどういうことか、イメージが湧きにくいかもしれません。
都会的と言われる部分については、繊細で抑制された部分を指している言い方ではないかと思います。
この曲にもひかえめな美意識が感じられないでしょうか。
マイク・マイニエリ(Mike Mainieri)のヴィブラフォンも、すばらしいサポートをしています。
9位「The Breeze and I」(アルバム:Crash!I)
■曲名:The Breeze and I
■曲名邦題:そよ風と私
■アルバム名:Crash!
■アルバム名邦題:クラッシュ!
■動画リンク:「The Breeze and I」
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1928年キューバの作曲家エルネスト・レクオーナ(Ernesto Lecuona)が書いた曲です。
ジャズでも演奏されますが、少しイージーリスニング寄りの曲かもしれません。
元々ラテンの曲ですので、この曲でもラテンのアレンジが施されています。
この曲ではオルガン奏者のジャック・マクダフ(Jack McDuff)と共演しています。
当時はオルガンとギターが共演したアルバムが人気でした。
ちなみにオルガンとの共演で有名なジャズ・ギタリストとしては、他にグラント・グリーン(Grant Green)が有名です。
しかしグリーンとバレルでは、持ち味がかなり違います。
野太く時にファンキーで反復フレーズを多用するグリーンに対して、バレルはより繊細で洗練されたプレイが持ち味です。
バレルはグリーンほどコテコテではありませんが、薄味でも出汁が濃いといった感じでしょうか。
この曲でも57秒からのギターソロは、持ち味を活かした見事な演奏です。
10位「Make Someone Happy」(アルバム:’Round Midnight)
■曲名:Make Someone Happy
■曲名邦題:メイク・サムワン・ハッピー
■アルバム名:’Round Midnight
■アルバム名邦題:ラウンド・ミッドナイト
■動画リンク:「Make Someone Happy」
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今回この人を取り上げたのは、地味ですがもっと聞かれてほしいと思ったからです。
意識して少し派手めな曲も入れてみましたが、まだまだ地味さを払しょくできていないかもしれません。
開き直って、最後にとびっきり地味な曲を選んでみました。
私がこの人を聞きたくなるのは、主に夜の遅い時間帯です。
深夜眠れない時にこのアルバムを取り出したのは、一度や二度のことではありません。
このアルバムを聞くと、日中散らかった様々な感情が沈殿していくような気がしします。
アルバムをかけると、より静けさが際立つような気もします。
サイモン & ガーファンクル(Simon & Garfunkel)に「サウンド・オブ・サイレンス(The Sound of Silence)」という曲がありますが、このアルバムもその種の音楽かもしれません。
寝付きの悪い方におすすめいたします。
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