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ケニー・バレル(Kenny Burrell)の名曲名盤10選【代表曲・隠れた名曲】

今回はケニー・バレルのランキングを作成しました。

この人は比較的地味なジャズ・ギタリストです。

しかしその味わいは格別で、決して地味なだけの人ではありません。

ブルージーなジャズギターをご堪能ください。

 

1位「Midnight Blue」(アルバム:Midnight Blue)

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■曲名:Midnight Blue
■曲名邦題:ミッドナイト・ブルー
■アルバム名:Midnight Blue
■アルバム名邦題:ミッドナイト・ブルー
■動画リンク:「Midnight Blue」

この人の決定的な名演は何かと聞かれたら、どれほどの人が即答できるでしょうか。

考え込んでしまう人も多いかもしれません。

演奏が高水準で安定していることもあって、抜きん出た曲を探すのは難しいように感じますし。

私はこの曲を1位にしました。

ただこの曲単体でもすばらしいですが、アルバム単位の勝利といえるかもしれません。

最高傑作と言われることも多く、この曲と同レベルの曲ばかりです。

このアルバムではテナー・サックスのスタンリー・タレンタイン(StanleyTurrentine)が大活躍していますが、この曲では演奏していません。

またこのアルバムは、ジャケットにもご注目ください。

大胆な構図と必要な情報をしっかり配置する機能性。

バレルの核心である「blue」の強調。

写真をあえて小さくしたことで、逆に目立たせていること。

ブルーノートのデザイナー、リード・マイルズの最高傑作の1つだと思います。

 

2位「Greensleeves」(アルバム:Guitar Forms)

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■曲名:Greensleeves
■曲名邦題:グリーンスリーブス
■アルバム名:Guitar Forms
■アルバム名邦題:ケニー・バレルの全貌
■動画リンク:「Greensleeves」

グリーンスリーブスといえば、音楽の時間で聞いたことがある方も多いかもしれません。

私も良く知らなかった、改めてどういう曲か調べてみました。

どうやらイギリスの民謡らしく、作者不詳となっています。

曲名の「Greensleeves」とは「緑の袖」のことですが、諸説はあるものの何を意味するのか判明していません。

よく知られている曲にもかかわらず、分からないことだらけなのですね。

さてこの曲では、音の魔術師ギル・エヴァンス(Gil Evans)が編曲を担当しています。

しいてバレルの欠点を探すと、演奏にダイナミズムが欠けていることかもしれません。

元々そこで勝負しているプレイヤーではありませんが。

しかしこの曲でギルは起伏に富んだアレンジを提供して、譜面の上でバレルを躍動させています。

 

3位「Kenny’s Sound」(アルバム:Blue Bash!)

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■曲名:Kenny’s Sound
■曲名邦題:ケニーズ・サウンド
■アルバム名:Blue Bash!
■アルバム名邦題:ブルー・バッシュ!
■動画リンク:「Kenny’s Sound」

バレルはオルガン奏者と共演することが多い人です。

しかもすばらしい作品が多く、オルガンとの相性も良いようですね。

このアルバムではオルガニストの頂点ともいえる、ジミー・スミス(Jimmy Smith)と共演しています。

ジミー・スミスといえば、弾きまくりで奔放なプレイを特徴とする人です。

一方バレルは本来そういうタイプではありません。

しかしジミースミスに触発されたのか、この曲ではテンション高めの演奏をしています。

まずは出だしからして好調。

バレルのギターソロは1:37からですが、緊張感あふれるすばらしい演奏を披露しています。

 

4位「Perception」(アルバム:Kenny Burrell)

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■曲名:Perception
■曲名邦題:パーセプション
■アルバム名:Kenny Burrell
■アルバム名邦題:ブルー・ムーズ
■動画リンク:「Perception」

彼は1956年にデビューしています。

このアルバムは翌年1957年にリリースされていますので、初期の録音といえるでしょう。

ジャズの場合はロックと違って、必ずしも自作曲を中心にする必要がありません。

そのためロックなどでは考えられないようなハイペースで、アルバムを発表することができます。

ディスコグラフィーで数えたところ、バレルは1957年だけで8枚ものアルバムをリリースしています。

才能があると認められれば、様々なレーベルから声がかかりますしね。

ただ最初期は、そのプレイヤーの適性が判明しているわけではありません。

数多くのレコーディングをこなす中で、自然と適性や得意不得意が見えてくるものです。

バレルはホーン奏者との録音が多いギタリストかもしれません。

この曲でもバレルはセシル・ペイン(Cecil Payne)のバリントン・サックスに対し、いい具合に絡んでいますね。

自分のソロばかりに意識が集中してしまうプレイヤーもいますが、バレルは多くのプレイヤーの中にあっても持ち味を発揮できるタイプのようです。

しかも演奏の水準も安定していますし。

きっと彼は現場で重宝されるプレイヤーだったのではないかと思います。

 

5位「I’ll Close My Eyes」(アルバム:Two Guitars)

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■曲名:I’ll Close My Eyes
■曲名邦題:アイル・クローズ・マイ・アイズ
■アルバム名:Two Guitars
■アルバム名邦題:2ギターズ
■動画リンク:「I’ll Close My Eyes」

私はこの曲自体に惚れています。

バレルには申し訳ありませんが、この曲といえばブルー・ミッチェル(Blue Mitchell)です。

ブルー・ミッチェルの曲は、これまで何度聞いたことか。

ジャズファンなら思い当たるかもしれませんが、自分が好きな曲はこういう風に演奏してほしいと、注文を付けたくなるものです。

その点私はこの曲の解釈に安心しました。

ちなみにこのアルバムはジミーレイニー(Jimmy Raney)との共同名義ですが、この曲ではギターはバレルのみです。

この曲については、共演者の演奏にもご注目ください。

まず2:25からマル・ウォルドロン(Mal Waldron)のピアノソロは、明快なタッチがすばらしいですね。

また粘り気を帯びたダグ・ワトキンス(Doug Watkins)のベースも聞きものです。

 

6位「Will You Still Be Mine」(アルバム:A Night at the Vanguard)

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■曲名:Will You Still Be Mine
■曲名邦題:ウィル・ユー・スティル・ビー・マイン?
■アルバム名:A Night at the Vanguard
■アルバム名邦題:ヴィレッジ・ヴァンガードの夜
■動画リンク:「Will You Still Be Mine」

ケニー・バレルは、ミディアムテンポのブルース曲が多いように思います。

ただ今回改めて聞きなおしてみて、意外とアップテンポの曲にも良い演奏があるように感じました。

中でもこの曲はその代表格だと思います。

テンポの速い曲でも彼の持ち味は失われていません。

バレルのギターは速い曲でも、音の選択肢が狭まっている様子はありません。

この曲ではドラムが好影響を与えているかもしれません。

ドラムは、私の大好きなロイ・ヘインズ(Roy Haynes)。

共演者のポテンシャルを引き出すことができる、最高のジャズ・ドラマーの1人です。

 

7位「Delilah」(アルバム:Introducing Kenny Burrell)

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■曲名:Delilah
■曲名邦題:デライラ
■アルバム名:Introducing Kenny Burrell
■アルバム名邦題:イントロデューシング・ケニー・バレル
■動画リンク:「Delilah」

ファースト・アルバムの曲です。

バレルはブルーノートの創始者、アルフレッド・ライオン(Alfred Lion)に見い出されてデビューしています。

しかしその前にはディジー・ガレスピー楽団に所属していました。

当時のディジー・ガレスピー(Dizzy Gillespie)は、アフロ・キューバン・ジャズなどの先進的な取り組みをしていました。

このアルバムには、コンガが入っていますね。

当時としては珍しい編成でしたが、これまでの経験が影響しているかもしれません。

さて私はこの人について、普通のハードバップ・ジャズとは少し違ったところがあるように感じます。

ブルース・プレイヤーが、ジャズを主戦場にしているような。

ただ彼のプレイスタイルは思いの外柔軟です。

この曲もジャズ、ブルース、ラテンがミックスされた、折衷的ですぐれた演奏を披露しています。

 

8位「As Long as I Live」(アルバム:A Generation Ago Today)

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■曲名:As Long as I Live
■曲名邦題:アズ・ロング・アズ・アイ・リブ
■アルバム名:A Generation Ago Today
■アルバム名邦題:ア・ジェネレーション・アゴー・トゥデイ
■動画リンク:「As Long as I Live」

この曲では珍しくボサノヴァの曲をやっています。

実はバレルは、以前にもボサノヴァに挑戦していました。

そちらもご紹介しておきましょう。

Kenny Burrell with Gil Evans Orchestra – Moon and Sand

彼はブルース色が強いと言われますが、一方で都会的だと評されることがあります。

ブルースだけど洗練されているとはどういうことか、イメージが湧きにくいかもしれません。

都会的と言われる部分については、繊細で抑制された部分を指している言い方ではないかと思います。

この曲にもひかえめな美意識が感じられないでしょうか。

マイク・マイニエリ(Mike Mainieri)のヴィブラフォンも、すばらしいサポートをしています。

 

9位「The Breeze and I」(アルバム:Crash!I)

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■曲名:The Breeze and I
■曲名邦題:そよ風と私
■アルバム名:Crash!
■アルバム名邦題:クラッシュ!
■動画リンク:「The Breeze and I」

1928年キューバの作曲家エルネスト・レクオーナ(Ernesto Lecuona)が書いた曲です。

ジャズでも演奏されていますが、少しイージーリスニング寄りの曲かもしれません。

元々ラテンの曲ですので、この曲でもラテンのアレンジが施されています。

この曲では、オルガン奏者のジャック・マクダフ(Jack McDuff)と共演しました。

ちなみにオルガンとの共演で有名なジャズ・ギタリストとしては、他にグラント・グリーン(Grant Green)が有名です。

しかしグリーンとバレルでは、持ち味がかなり違います。

野太く時にファンキーで反復フレーズを多用するグリーンに対して、バレルはより繊細で洗練されたプレイが持ち味。

バレルはグリーンほどコテコテではありませんが、薄味でも出汁が濃いといった感じがします。

 

10位「Make Someone Happy」(アルバム:’Round Midnight)

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■曲名:Make Someone Happy
■曲名邦題:メイク・サムワン・ハッピー
■アルバム名:’Round Midnight
■アルバム名邦題:ラウンド・ミッドナイト
■動画リンク:「Make Someone Happy」

今回は意識して少し派手めな曲を多めにしてみました。

しかしまだ地味な印象を払拭できていないかもしれません。

最後に開き直って、最後にとびっきり地味な曲を選んでみました。

私がこのアルバムを聞きたくなるのは主に深夜、かなり遅い時間帯です。

眠れない深夜、このアルバムを取り出したのは一度や二度のことではありません。

深夜にこのアルバムを聞くと、日中散らかった様々な感情が沈殿していくような気がします。

心なしかアルバムをかけると、より静けさが際立つような気も。

サイモン & ガーファンクル(Simon & Garfunkel)に「サウンド・オブ・サイレンス(The Sound of Silence)」という曲がありますが、このアルバムはそうした類の音楽かもしれません。

寝付きの悪い方におすすめいたします。

 

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